出典 : @switch08413

ビールのプロに聞く「おうちクラフトビール」を最高に楽しむ方法/後編

最近良く耳にする「クラフトビール」。クラフトビールを始めてみたいけど何から手をつけたらいいのかわからない方も多いのではないでしょうか?今回は東京都・下北沢のビール通の集う店「BeerBar うしとら」のビールのプロにクラフトビールを楽しむ"いろは"をお聞きしました。今年の夏はおうちクラフトビールを始めてみませんか?

インタビュー前編に続き、下北沢「BeerBar うしとら」店長・友成弘延さんにクラフトビールについてお聞きしました。
ぜひ前編もご覧ください。

ビールのプロに聞く「おうちクラフトビール」を最高に楽しむ方法/前編

後編ではクラフトビールをおうちで楽しむ方法やちょっと意外なクラフトビールアレンジ、そして豆知識についても教えていただきました。

おうちごはんでもっとクラフトビールを楽しみたい

ビール、実は温度によって香りが違う?

――昔聞いたことがあるのですが「ビールに温度によって味が変わってくる」というのは本当なのでしょうか?

友成弘延さん(以下、友成):ビールの温度ついては「低いと香らない、高いと香りが立つ」というのが一般的ですね。

――つまり、冷やさずに常温にして、香りを楽しめるように飲んだ方がいいということでしょうか?

友成:そうとも言えないのがビールの面白いところです。
例えば、日本の大手ビールメーカーのビールは香りを楽しむというよりも、キンキンに冷やしてのど越しを楽しんで飲んだ方が良く、ハイアルコールのビールは香りが立つので、キンキンよりも温度が上がった方が香りが立って美味しく感じられますね。

しかしながら、冷たいからといって香りが全くしないというわけではないんです。なので温度に関しても人によって好みがあるんです。「温度を高くすると香りが立つビールだけど、冷たく飲みたい」といったように。要するに、そのビールの特長を知って自分好みの温度を見つけるのが良いんですよ

――ビールを知ったところで自分の好みを見つけ出す。お店では、お店の人が各ビールの特長を知った上で、ベストだと思う温度で提供してくれるということなんですね。

クラフトビールをもっと美味しく飲む2つのコツ

――クラフトビールを美味しく飲むコツはあるんでしょうか?

友成:ビールの注ぎ方とか美味しく飲むコツを調べればいっぱい出てくると思うんですけど、でも僕はそんなことは言いません(笑)。もっと簡単に美味しく感じる方法があるんですよ。
それは、いつもの一口に+1.5秒ぐらいかけてゆっくり飲むんです

ゆっくり飲むことによって、口の中でビールの滞在時間が長くなるじゃないですか。すると色んな情報が入ってくるんですよ。香りや味を感じることができるので「ビールを味わう」ということができるんです。これが手間をかけずに美味しく飲むコツです。

――確かに、一番シンプルにビールを美味しく飲むコツですね。

友成:あとは、美味しく飲むシチュエーションを自分で作るということ。これはすごく簡単で、普通にただ飲むだけじゃなくて仕事後に飲むとか良いロケーションで飲むという環境を用意するだけで美味しく飲めます。

――私は家帰ってすぐに飲み始めちゃいます(笑)。美味しく飲むシチュエーションは確かに見落としていましたね。

友成:「これって当たり前じゃん」って思うかもしれないんですけど、実は当たり前のことをして飲んでいる人って少ないんですよ。例えばですけど、月が出てたとして窓をあけて月が見えるようにセッティングして飲むのと、普通に飲むのとでは全然違う。当たり前だけど見落としがちのことをちょっとやってみると良いと思います。

ビールのコレクターにならないで!その理由とは?

――これからクラフトビールを飲んでみようと考えてらっしゃる方に心がけてほしいポイントがあれば教えてください。

友成:ビールが好きな人は、写真を撮ったりして記録を残したりするんですよ。でも僕は写真は取らなくても良いかなって思うんですよ。なぜなら、写真を見ても同じ色のビールって無数にあるので、それよりもビールの味を飲んでいる時に楽しむのが良いのではないかと思います。

――「ビールを飲んでいる時に楽しむ」とは?

友成:記録を残している人はコレクターみたいになっちゃうんですよ。記録を残しておけば「○○を飲んだ」と履歴にはなるけど、肝心の味を覚えていない方もたくさんいるんです。それだと僕はもったいないなと思うんですよね。

だから、いつまでもビールを純粋に楽しんでもらいたいと思います。クラフトビールの場合は、同じビールでもお店によって味が違ってくるんです。出している温度も違えば、管理方法でも味変わってきちゃいますし、飲むときのグラスが変わるだけで味に影響してしまいます。ビールを出す時期もとても大切なんですよ。色々な影響を受けているので、クラフトビールって毎回味が違ってくるんです

「あのとき飲んだ○○最高だよね」という人もいるんですけど、同じビールでも「あれいつもと味が違うな」と感じる時もあるんです。飲んだ人の体調にもよりますし、気分とかでも大きく味が変わってきたり、自分の中でも美化されすぎちゃって「あれ、もっと美味しかったはずだけどな」という時も多々あります。

――ハードルが上がりすぎちゃうときありますよね。それは逆のパターンもあり得るってことですよね。

友成:そうそうそう、「前飲んだ時はあんまり美味しくなかったけど、今回飲んだらこんなに美味しい」ということも多々あります。うしとらブルワリーだけでなくブルワリー各社は日々向上していますので、「今回こういう風に変えてみました」と味を変えたり工夫しているんですよね。だから昨年飲んだビールよりも今年の方が美味しいものはいくらでもあります。

――ビールの味をがっちり型にはめるんじゃなくて、「今年の○○ビールはこういう味なんだ」というふうに飲むのが良いんですね。

友成:クラフトビールは固定概念を強めない方が良いですね。それとは逆に大手のビールは全く味が変わらないんです。これはすごいことなんです。

――味が変わらないってすごいことなんですか?

友成:すごいんです。例えば、北海道で飲んでも沖縄で飲んでも、アサヒさんのスーパードライって味が変わらないでしょう。クラフトビール屋さんがやろうと思っても絶対にできないんですよ。だから大手メーカーのビールは大手の良さがあって僕も大好きなんですよ

ちなみに僕の場合は、「スーパードライ」というスタイルだと思って飲んでいるんです。ラガーやペールエールといったスタイルがあるように、スーパードライというスタイルがあると僕は思っているんです。そういう風に思って飲むのが楽しいんです。

よくあるのが、クラフトビールを飲み始めた方が「大手ってまずいよね」とかいうんですけど、僕からすると違うなと思います。大手メーカーのビールを楽しまないのは逆にもったいないんです。大手のビールも美味しく飲んでいたはずじゃないですか。

――ビールを飲み始めた頃はきっと、みなさん、日本の大手ビールメーカーから入った方は多いはず。

友成:特に日本のビールは世界最高峰ですからね。大手のビールは大手のビールとしてぜひ楽しんでください。

――友成さん、ありがとうございました!

誰でも出来る当たり前のことだけど、意外とやっていないことが「クラフトビール」を美味しく飲むコツ。ぜひおうちでクラフトビールを楽しむときに実践したいですよね。

今回取材させていただいた「Beer Bar うしとら」では、栃木にある自社の醸造所・うしとらブルワリーで作られたオリジナルビールをはじめとして、壱号店・弐号店あわせて35種類ものクラフトビールとお食事を堪能することができます。

クラフトビールを始めたい人でも、クラフトビールにはまっている人でも楽しめるお店なので、ぜひお店に足を運んでみてはいかがでしょうか。

ビールのプロに聞く「おうちクラフトビール」を最高に楽しむ方法/後編

今回お話をうかがったお店「Beer Bar うしとら」

東京都・下北沢で日本のクラフトビールを中心に壱号店&弐号店合わせて35種類の樽生ビールを提供しているビアバー。壱号店ではソファー席とカウンター席で日本で有数の「ハンドポンプ」で引きあげるビールを堪能することができ、弐号店ではスタンディング形式でどこか懐かしい雰囲気を味わいながらクラフトビールを堪能できる。2014年から栃木県下野市に「うしとらブルワリー」を立ち上げ、日本屈指のブルワーとともに「ビールを売る側」と「ビールを作る側」の2つの目線から、うしとらブランドのオリジナルのビールを醸造している。

beer bar うしとら(クラフトビール/下北沢)
ビアバー うしとら壱号店 / Facebook
ビアバーうしとら弐号店 / Facebook

おうちごはんでは「Beer Bar うしとら」を紹介したコラムもございます。ぜひそちらもチェックしてみてください。

ビール通が集うお店・下北沢「BeerBarうしとら」でビールがもっと好きになる

インタビューはここでおしまいです。最後までお読みいただきありがとうございました。

ビールのプロに聞く「おうちクラフトビール」を最高に楽しむ方法/後編

ビールのプロに聞く「おうちクラフトビール」を最高に楽しむ方法/後編

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