
いよいよ握り方、おにぎり作りの極意を学びます!
新米がおいしい季節にその握り方の極意を学びたい! ということで、昭和29年創業の東京で一番古いおにぎり専門店『おにぎり浅草宿六』にお伺いして、3代目店主の三浦洋介さんにプロならではのおにぎり作りの極意を教えていただきました。
米の研ぎ方から炊き方までしっかり学んだ前編に続き、後編ではいよいよおにぎりの握り方をたっぷりとご紹介します。
まずは塩むすびの握り方から

今回は家庭でもすぐに実践できる、塩むすびの作り方を教えていただきます。

【1】手におさまるくらいの量のごはんを用意する。しゃもじひとすくい分が目安。
【2】ごはんをまな板の上に置き、軽く熱を和らげる。
※まな板はごはんがくっつかなければ水でぬらさなくてもよい。
【3】両手で三角に形を作る。
【4】この段階ではふんわり形作るだけでよい。あらかじめ形を作っておくと握りやすくなる。

【5】指3本に塩をつける。塩加減は人によって違うので、自分で味見して決めてください。
【6】塩を両手になじませて、まな板の上のおにぎりを片方の手に取る。
【7】もう片方の手を山のようにしておにぎりにあてる。
【8】あらかじめ作っておいた形にそって3回握ったら、完成!
三浦さんからのアドバイス
ごはんが手でさわれる状態なら、本当はまな板におかないで普通にそのまま手に取って握るのが一番おいしいです。なぜかというと、熱くないとごはんがつかないのでより熱い方が少ない力でごはんをまとめることができ、冷めれば冷めるほど力が必要になるから。
でも、手のひらに炊きたてのごはんを直接のせて三角を作るのは、熱すぎて相当難しいと思います。一度まな板の上において三角に形を作ってから握ると、3回できれいにまとめることができます。
いよいよ具入りおにぎりの握り方を伝授

次はいよいよ具入りおにぎりの握り方!
塩むすびの時と同じく、まな板の上に手におさまるくらいのごはんをのせます。

【1】~【2】ごはんを薄く広げ、真ん中に具をのせる。
※具の量はお好みで。宿六では、最初の一口は具なしで米と海苔のおいしさを味わってほしいので、具は少なめにされています。
【3】具にまわりからもってきたごはんをかぶせる。
【4】かぶせ終わった状態。かぶせておくことで余計な圧力をかけない。
【5】~【6】塩むすびの時と同じ手順で、三角に形を作り、両手に塩をつけて3回握る。
【7】~【9】海苔の上におにぎりをのせて、片面だけ三角に折る。
海苔は乾燥している方が風味があるので、パリッと感を味わってもらうために、あえて片方は折り込まないようにされています。
塩加減は数値化していないそうで、三浦さんは手になじませた時の粒感で塩分濃度がわかるとのこと。長年の経験で培った手に触れる感覚が、『おにぎり浅草宿六』でしか味わえないおいしさに繋がっているのでしょうね。

できたてのおにぎりを試食!
米の炊き方から握り方まで、おにぎり作りの極意について真剣に学んだ編集長とmicoは、すっかりおなかがペコペコに(笑)。
期間限定のしぐれ煮が入ったできたてのおにぎりと塩むすびを試食させていただきました。

木のかごで出すのは昔から変わらないスタイル。たくわんを2枚添えて。

「おにぎりは、米と海苔と具のバランスが大事なんです。米の味が一番弱い、だけど米の味は味わいたい。だから米に合う海苔や具があるんですよね。でも海苔が強いので、その海苔に負けず、ごはんに勝ちすぎない具。そして、おにぎりはすごく繊細なものゆえに塩で全部味が変わってしまいます。なので自分好みの塩を選ぶのがいいですね。食感的にはさらさらとした塩の方が使いやすいと思います」と三浦さん。
口に入れた瞬間にほろほろとほどけるおにぎり。どこかなつかしくて、心にしみるおにぎりは、噛みしめるたびにおいしくて幸せな気持ちに。できたてのおにぎりと食べ比べするために塩むすびは2時間たったものを試食。冷めてももちろんおいしかったのですが、味わいや食感にかなりの違いがやっぱりできたてに勝るものはないですね。
海外からのお客様にも宿六のおにぎりは大人気!

Onigiri (rice balls), wrapped in crispy sheets of nori (seaweed), are a great Japanese culinary invention. Try them freshly made at Tokyo's oldest onigiri shop, which feels more like a classy sushi counter. The set lunches are a great deal; at night there's a large range of flavours to choose from, along with alcohol.
浅草という場所柄もあって『おにぎり浅草宿六』に来店されるお客様の半分近くはアジアやヨーロッパなど海外からの観光客とのこと。英語のメニューも用意してあり、日本のソウルフード「おにぎり」を歴史ある雰囲気の中で堪能できるお店として世界中で注目されています。
名実ともに宿六になる!

「おにぎりの握り方などは教わってない。小さい時からずっと見ていたし、そこが唯一違うところなんですよね、他のおにぎりやさんと。小さい時から生活の中に当たり前にあって、生まれた時からおにぎりやさんです。おにぎり界のプリンスなんです(笑)」と三浦さん。
最後にこれからおにぎりを通してやってみたいことについて伺ったところ、
「最終的には働きたくない。将来の夢は働かずして食う。それが宿六(=ろくでなし)。宿六だから働いてはダメなんです。名実ともに宿六になる」
将来的にはお店を3代目として継ぐという意志のもと、30歳までフルートを仕事にしながら思いっきり人生を謳歌し、現在は日本だけでなく世界中の人々においしいおにぎりを通じて感動を届けている三浦さん。その言葉の一つ一つには、やさしさと自信があふれていました。