
素人でもできる!?ミキョウさんのお刺身アート
こちらは、ギリシャ神話に登場する木の精霊ドリアードをモチーフにしたお刺身アート。
これがお刺身だなんて信じられますか!? イサキとつるむらさき、エディブルフラワーが使われていて、全て食べられるんですよ。
以前、おうちごはんのインスタグラムでもご紹介させていただいたところ、1万件以上もの「いいね!」を獲得しました。
作者のミキョウさんは、料理家さんかと思いきや、「飲食店に一度も従事したことはありません。普段は会社でデスクワークしています」とのことで、現在、愛媛県松山市で奥さまと小学生のお子さん2人と暮らしているそう。
プロではないのにこの腕前ってすご過ぎませんか⁉
もしかしたら私たちも頑張ればできるかも? 何かと人が集まる機会の多い年末年始に、お刺身アートでゲストをおもてなししたら喜ばれること間違いないですよね。
さっそく、ミキョウさんにお刺身アートを始めたきっかけや、上手に作るコツを伺いました!
ミキョウさんに聞く、お刺身アートの作り方
よく切れる包丁と木のまな板は必須!
―― プロの料理家さんではないと知って本当に驚きました。いつごろからお魚を捌くようになったのでしょうか?
本格的に魚を捌き始めたのは2017年の夏くらいだと思います。きっかけは長男に魚の捌き方を教えてあげたくて……。でも、気が付いたら私がはまっていました(笑)。
もともと魚料理が好きで、その前から簡単なものは作っていました。刺身はもちろん、煮魚や焼魚、カルパッチョやアクアパッツァ、鯛めしなどです。
―― それが、お刺身アートへと発展していったきっかけは?
お刺身アートを始めたきっかけというのが自分でも曖昧なのですが、たぶん、姿造りが海外の方や女性の方に苦手意識を持たれていると感じたことでしょうか。何か違う盛り付け方はないかと考え、たどり着いたのがお刺身アートだったのかなと。
最初は、プロの職人さんがフグの薄造りで造られている「鶴造り」を参考にしました。
――最初のころから完成度が高くて驚かされますが、ご家族の反応はいかがですか?
最初のころは、女性のモチーフの盛り付けをすると、次男が照れるのが面白かったですね。でも、今は「……ふう~ん…」です(笑)。
―― 慣れですかね(笑)。神話などドラマチックなお刺身アートが印象的ですが、モチーフはどのように選んでいますか?
選び方は適当なのですが、できるだけ海外の方にもわかりやすいモチーフを心掛けています。スケッチブックに描いたいたずら描きをもとに盛り付けたこともありますし、フォロワーさんからのリクエストの時もあります。
―― 作る上で心掛けていることは?
一番は鮮度です。時間をかければもっときれいで繊細な盛り付けができると思いますが、素材が生ものですので刺身を切って並べてすぐ完成となるようにしています。
日本の方によく言われるのが、刺身という生ものを手でいっぱい触って汚いんじゃないかと……。そういう見られ方をなんとか払拭できないかなぁと思っています。切って並べているだけなので、実は握り寿司よりも刺身を触っていないんですけどね(汗)。
―― そんなに早く作れちゃうんですね! 道具はどんなものを使っているのですか?
私は包丁5本(柳刃、出刃2本、小出刃、ペティナイフ)、歯ブラシ、ストロー、骨抜き、ウロコ取り、千枚通し、キッチンバサミ、盛り箸などの道具を使い分けて作っています。
ちなみに、歯ブラシは魚の血合いをきれいにする時、ストローは魚を保存する時の空気抜き用です。
―― 包丁を5本も! 我が家には三徳包丁しかないのですが、それだと難しいでしょうか……?
いや、お店で切り身(柵・さく)を購入して作るなら、三徳包丁やペティナイフでも大丈夫です。とにかく、研いでよく切れる包丁を1つは用意してください。魚を丸1匹捌くことから始めるなら出刃は必要です。
あと、もう1つ上手に作るコツとしては、木のまな板を使うこと。木のまな板は素材が滑りにくいので、水気の多いタコやイカでも切りやすくなります。
―― なるほど。初めて挑戦するならどのモチーフがおすすめですか?
アゲハ蝶です。
胴体は通常なら捨てる一太刀目の部分(もちろん食べられます)なので、あしらいだと思って先に作っておきます。その後、羽の先から並べて羽を形作り、余った身でバラを作って完成です。
ポイントはお刺身を切って並べる順番を間違えないことです。あと羽を大きく盛り付けて胴体を小さくするようにしてください。
――この時はメバルを使われていますが、ほかのお魚でも大丈夫でしょうか?
はい。メバル以外のお魚でも問題なく作れます。特殊な道具もいりません。極端に言えば、お刺身の柵と包丁さえあれば作れますよ。
――それなら私にもできるかも! ぜひ挑戦してみたいと思います。こんなにきれいだと食べるのがもったいないと思ってしまいますが、お刺身はお醤油でそのまま味わうことが多いのでしょうか?
ほとんど醤油ですが、鍋の時はしゃぶしゃぶにします。あと、ごま油塩で食べたり、マヨネーズをかけてバーナーで炙ったりすると子どもたちが喜びますね。
それでも余ったら、捌いた時の副産物のアラで出汁を取ってお吸い物にしたり、茶碗蒸しの具にしたりします。
――どの食べ方もおいしそうですね! それでは、今後挑戦したいモチーフはありますか?
実は、今までに何度も挑戦しては失敗しているモチーフがあります。そのほとんどが、もふもふな毛の動物。いつかきれいな盛り付けができればいいなと思います。あとは挑戦すらしていないガンダムですね(笑)。
――ガンダムのお刺身アート、ぜひ見てみたいです(笑)。ちなみにお刺身アート以外でハマっているお料理やお料理以外の趣味はありますか?
讃岐うどんは7年前くらいから手打ちしています。料理以外の趣味は釣りです。
――質問は以上です。ミキョウさん、ありがとうございました!
慣れたら作りたい!ミキョウさんお気に入りベスト3
最後に、ミキョウさんがこれまでに作ったお刺身アートの中から、お気に入りベスト3を発表。まずは「アゲハ蝶」から作ってみて、慣れたら挑戦してみてはいかがでしょうか!
第3位:カルメン
ミナミマグロとヨコスジフエダイでカルメンを踊る女性を表現!
「フォロワーさんにマグロでアートしてほしいとリクエストいただいて、初めてマグロを使ってアートした盛り付けです」とミキョウさん。
情熱的な赤いドレスと躍動感のある動きに思わず、「オレ!」と声を掛けたくなりますね。
第2位:ペガサス
6日間寝かせて熟成させたガンゾウビラメが、伝説の生物ペガサスに変身!
ミキョウさんいわく、お気に入りのポイントは「苦手な単色の盛り付けと苦手な動物のモチーフの盛り付けがきれいにできたので」。
ペガサスが美しい翼をはためかせて、今にもお皿から飛び出してきそうですね!
第1位:ウェディング
花婿が花嫁を抱き上げるロマンチックなシーンを捉えた一皿!
ウェディングドレス部分はカレイで、あとはハマチ、イサキを使用していて、ミキョウさんも「バランスよくできた」と納得の仕上がり。
見つめ合う2人の姿に、こちらまで幸せな気分になっちゃいますね。
見て、作って、食べて楽しいお刺身アート
よく切れる包丁と木のまな板さえあれば、いつでも始められるお刺身アート。
魚を捌くところからだとハードルが高いけれど、短冊の形で売っているお刺身の柵を使えば、難易度はぐっと下がりますよね。
ミキョウさんも「たくさんの方が挑戦して、ラテアートのようになってくれたら」と期待しているよう。ミキョウさんのお刺身アートを見て楽しんだ後は、ぜひご自分でも挑戦してみてくださいね!