
スウェーデンでの日常が感じられる、レイチェルさんの最新本
フードライター兼料理人、レイチェル・クーさん
イギリス出身のレイチェル・クーさんは、ロンドンの名門芸術大学を卒業後にパリへ移住され、ル・コルドン・ブルーで料理を学び、製菓ディプロマを取得。その後、世界各地を旅しながらフードライターとしてのキャリアを積み、2012年に出版された著書の『The Little Paris Kitchen(小さなパリのキッチン)』は、イギリスでナンバーワンベストセラーとなり13か国語に翻訳されました。
また、BBCが制作した同名のテレビシリーズ番組がイギリスだけでなく世界各国で放映されるなど、彼女のキッチンから生まれるレイチェル流レシピは多くの人々を魅了し、世界中で人気を博しています。
部屋に飾っておきたくなるような、素敵な表紙
2019年10月に発売された『レイチェル・クーのスウェーデンのキッチン』。彼女にとって6冊目の料理本となる著書には、スウェーデン人の旦那さまとお子さんと暮らすスウェーデンで、家族や友達とゆったりとした時間を過ごしながら感じたことや学んだことなど、暮らしをより楽しく豊かにするエッセンスがレシピとともに紹介されています。
北欧の四季の恵みを大切にして、心から楽しむ
私は今回、スウェーデン料理の決定版を作ろうとしたのではなく(中略)、スウェーデンでの私の暮らしに関係のあるレシピをまとめた本を作りたいと思いました。本書は、スウェーデンの四季の流れに対する私なりのオマージュ(敬意)でもあります。
レイチェルさんは、スウェーデン人の旦那さまの家族や友人たちからそれぞれの家に伝わる昔ながらのレシピを聞いたり、子育てをしながら北欧の料理や食文化について学ぶ中で、「Fäviken(フェーヴィケン)」という世界有数のレストランで働いた経験を通じて、限られた食材でいかに独創的な料理を作るかについても考えるようになったんだそうです。
冬が長くて作物が育つ期間が短い北欧だからこそ、四季折々の旬の食材を最大限に活用する知恵がたくさん詰まっているスウェーデンの料理。季節の一瞬一瞬を大切にしながら、素材本来のおいしさを活かしたシンプルさの中にセンスあふれるレイチェルさんのレシピとともに、スウェーデンの日常も楽しめる素敵な一冊です。
レイチェルさんのスウェーデンのキッチンから生まれた、とっておきのレシピ
3年間のスウェーデンでの暮らしから生まれた、とっておきのレシピがたくさん詰め込まれている『レイチェル・クーのスウェーデンのキッチン』。実際に本で紹介されている料理を作ってみた方々の写真とともに、スウェーデン料理の魅力とフードカルチャーについてご紹介します。
にんじんのサラダ
千切りにしたにんじんを酸味が効いたドレッシングで和えてフェタチーズを散らしたサラダは、ケッパーと赤玉ねぎを加えるのがおいしさのポイント。
Top tip/ このサラダは、作った翌日の方が味がなじんで玉ねぎの辛みがまろやかになり、さらにおいしくなります。
今回発売されたレイチェルさんの著書では、 “Top tip” として作り方のヒントやアイデアが紹介されています。さりげない心遣いがうれしいですね。
ホットスモークサーモンのサラダ、グラブラックスドレッシング
グラブラックスは、生鮭を塩や砂糖、黒胡椒、ディルなどでマリネした北欧料理。マスタードやレモン、ディルなどで作るグラブラックスドレッシングは、スウェーデンのどこのスーパーでも売られているほど一般的なものとのこと。
“Top tip” によると、普通のスモークサーモンやスモークトラウト、コールドローストチキンでも代用できるそうです。
ミートボール
世界的にも有名なスウェーデンのミートボール。みなさんもIKEAなどで一度は食べたり、見かけたりしたことがあるのでは?
スウェーデン人の食生活には欠かせない料理だからこそ、正統派のレシピを紹介するべきとの思いで作られたミートボールのページには、スパイスや生クリーム入りの肉だねからグレービーソースの作り方まで、とてもわかりやすく丁寧に記されています。
「Try Swedish! Japan」について
にんじんのサラダやミートボールなど、これまでにご紹介した3種類の料理は、レイチェルさんのレシピをもとにスウェーデン大使館大使専属シェフのヨハン・アルステットさんが調理されたもの。
レイチェルさんが来日された際に開催された出版イベントの様子をはじめ、インスタグラムのTry Swedish!日本語公式アカウント(@tryswedishjapan)では、スウェーデンの食文化やイベントなどが紹介されています。ぜひチェックしてみてくださいね!
ヴェステルボッテンチーズのパイ
スウェーデン北部にあるヴェステルボッテン地方で作られているハードチーズを使ったパイは、ミッドサマー(夏至)やスウェーデンの夏の風物詩のザリガニパーティー、クリスマスなどの定番料理。
冷やしてもおいしいこちらのレシピは、肉や魚を使っていないベジタリアンメニューで、他にもグルテンフリーや乳製品フリーなど、レイチェルさんの最新本には家族やゲストの健康や嗜好を配慮したレシピも紹介されています。
スウェーデン風炒めもの(ピッティパンナ)
ピッティパンナとは、スウェーデン語で「フライパンの中の小さなもの」を意味する、スウェーデン風のナシゴレンのような料理。
お好みの材料や残り物などをさっと炒めるだけでできてしまう手軽さがうれしいレシピですが、目玉焼きだけはお忘れなく!
サーモンのスローロースト
スウェーデンのクリスマスの食卓に欠かせないサーモンを使ったこちらの料理は、低温のオーブンでゆっくり時間をかけてローストすることで、とっても柔らかくしっとりとした仕上がりに。
あつあつでも冷めてからでもおいしいので、パーティーやおもてなしの一品としても活躍してくれそうです。
チーズケーキ(オストカーカ)
オストカーカは、スウェーデン南部にあるスモーランド地方の伝統菓子で、直訳するとチーズケーキを意味しますが、アーモンドの香りがする少し粗めの食感でいわゆる普通のチーズケーキとは違う味わいのデザート。
伝統的なレシピではチーズを作る時に使うレンネットという酵素剤を加えるそうですが、レイチェルさんの本では手に入りにくい材料の代用品なども紹介されているので大丈夫! @undiu637さんのように、おうちでもトライしてみたいですね。
ベーコンとプルーンを詰めた焼きりんご
中身をくり抜いたりんごに、炒めたベーコンと玉ねぎ、プルーン、りんごを詰めてオーブンで焼きあげた料理は、スウェーデン人が大好きなほっとする味わいが楽しめる一皿。
りんごの甘くておいしそうな香りが漂ってきそうな@shiotasunaoさんのお写真、なんとレイチェルさんがご自身のインスタグラムでシェアしてくださったという素敵なエピソードも!
少ない材料で手早くおいしく作れる前菜レシピは、クリスマスなどホームパーティーにもおすすめです。
スウェーデン人にとって大切な文化、「Fika(フィーカ)」について
同僚や友人、家族、恋人とコーヒーを飲む時間や休憩をとることを意味する「fika(フィーカ)」。仕事や家事の合間などほとんどのスウェーデン人が1日に何度かフィーカをとるそうで、職場の仲間や家族、友人たちと会話を楽しんだり、親睦を深めたり、単に休憩としてだけでなくコミュニケーションの時間として生活の一部になっている、 スウェーデン人にとってとても大切な文化です。
「食器はグスタフスベリのfestongというシリーズのものです。葉っぱの柄のベルサはとても有名ですが、この柄はあまり知られていないかと思います。ベルサをデザインしたリンドベリが手掛けたものです。」(@myuflowerさん)
スウェーデンに住んでいる間に、元々好きだった北欧ヴィンテージ食器にさらに夢中になったという@myuflowerさん。お気に入りの食器でコーヒーやお菓子を楽しむフィーカのひととき、心身ともにリフレッシュできそうですね。
2020年、日本とスウェーデンがぐっと近くなる!
スウェーデン人の生き方の根本には、人生のバランスを見つけ、質の良いものを適切な量だけ楽しむ「ラーゴム(lagom)」という考え方があります。
「天候に合った服装をしていれば、悪天候なんてない!」。スウェーデンにはこんな格言もあって、(中略)暗くどんよりとした天気でも、家の中に一筋の日の光をもたらしてくれるような、元気の出る料理を作ります。
数年前、スウェーデン在住の友人が「lagom(ラーゴム)」はとても素敵な言葉だから覚えておくといいよと教えてくれたのですが、いつの間にか記憶の中で薄れてしまっていて……、『レイチェル・クーのスウェーデンのキッチン』の文中にこの言葉を見つけた瞬間、あの時の記憶が一瞬にしてよみがえって心に強く響き、6ページに渡るintroductionに込められたレイチェルさんのメッセージを何度も読み返しました。
2020年夏には、東京・羽田空港とスウェーデンの首都ストックホルム・アーランダ空港を結ぶ直行便の就航決定といううれしいニュースも! 四季を通して様々な魅力にあふれるスウェーデン、レイチェルさんの本で紹介されている北欧の料理や食文化をぜひ本場で味わってみてはいかがでしょうか。