パリの星付きレストラン「ラ・メゾン・クルティーヌ」のオーナーシェフだったイヴ・シャルルがテーブルナイフ『9.47』を誕生させました。

2004年、イヴの友人達が彼のレストランに食事に来た時のお話。

メインディッシュの「鴨のグリル」が出て来た時、テーブルを囲んでいた友人数名がおもむろに 「Perceval（ペルスヴァル）」のポケットナイフ （下の写真の左上の折りたたみナイフ）を取り出し、さくさくと鴨肉を切り、美味しそうに頬張り始めました。

一方、お店のナイフを使っている友人達は、鴨肉を切るのに悪戦苦闘。

その光景を見ていたイヴ……。
「あのポケットナイフと同じ切れ味のテーブルナイフがあったらいいな……
……そうだ！この工房にテーブルナイフを作ってもらおう！」

イヴ・シャルルは60本のテーブルナイフを注文するため、
刃物の街として栄える、フランスのオーヴェルニュ地方・ティエールにアトリエを構えるナイフ工房「Perceval（ペルスヴァル）」を訪ねます。

ところが「うちの工房では未だかつて、テーブルナイフを生産したことがないので注文を受けられない」とあっさり断られてしまうのです。

諦めきれないイヴは2度目の訪問をしますが生産コストの問題などがあったのでしょうか・・・
当時の経営者はテーブルナイフの生産をやはり承諾してくれなかったのです。

3度目の訪問時には、なんと！工房ごと買取る交渉に出かけ、見事交渉を成立させてしまうのです。

後に、イヴは語っています。
「テーブルナイフを買いに行ったつもりが……
結局ナイフ工房を買ってしまった……」と。

ペルスヴァル工房を買い取ったイヴは、念願のテーブルナイフ『9.47』を生産。
自分のレストランで使い始めると、話題が話題を呼び評判となり、2008年にはミシュランの星付きレストランだったにも関わらず、ペルスヴァルの経営に専念するためにレストランを閉めてしまうのです。

因みにテーブルナイフの『9.47』とは……
2004年テーブルナイフ作りのきっかけとなった友人達との食事の際に飲んでいたワイン「ペイラ」がアルコール度数9.47%だったことに由来しているそうです。
（自然派ワイン醸造家のステファン・マジョーヌが持参していた）

イヴ・シャルルの情熱、魂のナイフ「Perceval（ペルスヴァル）」のリンク先のビデオを是非ともご覧ください。痺れます！！！

私は「カッティングボード」と「ナイフ」をスタイリングに取り入れるのが大好きです。
特にオープンサンドなど、「テーブルの上でパンを切り分け具材を乗っけてラフに作って食べました」というようなカジュアル感・男っぽさが醸し出せるので気に入っています。

かっこいいフード写真、写真作品を撮影する前提でカッティングボードをチョイスする際に気にかけていることは、カッティングボードの表面に表情があること。

例えば、美しい木目がある、使い込まれてナイフの刃の跡が激しく残っている、表面に表情をつけるために彫り込みがしてある……等々……。

カッティングボードの表面に表情がある分、スタイリングや盛り付けは控えめにあまりゴチャゴチャさせない方が表面の表情が際立つのではないかと思います。

一般的なキッチンで使われるカッティングボードは縦と横の比率が2:3のものが多いのです。

もしかするとこの比率のカッティングボードで撮影しようとして苦労をした経験をお持ちのインスタグラマーの方もいらっしゃるかもしれません……。

私も初め、この2:3の比率のカッティングボードをインスタグラムの正方形の画角の中に収めるのに四苦八苦しました。

特に真俯瞰の構図に収めるのが難しかったのです。

今では画面に対して縦のラインを意識してスタイリング、構図を作り上げると美しい写真が出来上がると思っています。

美しさには正解はなく……
……あくまでも私の独りよがりなのですが……（汗）。

よかったら縦ラインを意識したスタイリング、
トライしてみてくださいね。

【@pepe29さんのプロフィール】
普段は転勤族サラリーマン、土日や休日に料理を作ってインスタに投稿。オトコならではのスタイリングでちょっぴりマッチョな写真に仕上がるよう工夫し撮影しています。