ベジブロスってなに?
ベジブロスは、野菜(ベジ)の出汁(ブロス)のこと。
料理をすると出てくる野菜くずの皮や芯、ヘタなどを少量のお酒と一緒にコトコト煮出すと、野菜の甘みや旨みの出た出汁がとれます。
さらに、この出汁には旨みだけでなく、高い栄養価があるんです。
ベジブロスのここがすごい!
<フィトケミカルを効率的に取り入れられる>
●抗酸化作用に優れたフィトケミカル
第七の栄養素とよばれる「フィトケミカル」という栄養素があります。「フィトケミカル」とは、野菜や果物、豆類、イモ類、海藻などの植物に含まれる化学成分のこと。
たとえば、トマトの「リコピン」やにんじんの「βカロチン」、玉ねぎに含まれるポリフェノールの「ケルセチン」などもフィトケミカルに含まれます。フィトケミカルは抗酸化作用が強く、免疫力を高め、生活習慣病のリスクを低減するなど、身体を内側からきれいにする、さまざまな効果が期待されています。
●フィトケミカルは皮やヘタに多く含まれる
そのフィトケミカルが多く含まれているのが、じつは野菜の皮やヘタ、根、種など、ふだんは捨ててしまっている部分。野菜の皮は外の刺激から身を守る役割、ヘタや根は生長点、種は命の起点という大事な役割があるため、さまざまな栄養分が集まっているんですね。
●加熱することで吸収されやすくなる
フィトケミカルは煮込むことで水に溶け出し、加熱することで吸収されやすくなります。そのため、野菜くずを煮出してつくるベジブロスはフィトケミカルを取り入れるには最適な調理法なんです!
<和洋中問わず使える万能出汁>
栄養素がたっぷり溶け込んだベジブロスは、野菜の甘みと旨みが溶け出し、やさしく香り立つ味わい。強い主張がないので、どんな料理にも使うことができ、おいしさを引き立ててくれます。
@junko_okさんは、玉ねぎや人参、大根の皮やヘタなどをストウブの鍋に入れ、ベジブロスを作られています。このベジブロスに藻塩を入れて飲むのがお好きなのだそう。ほんのり塩味のやさしいお出汁は体を温め、心も落ち着かせてくれます。ほかにも、このベジブロスを使ってスープやカレーを作られるのだとか。
では、さっそくベジブロスの作り方をご紹介します。
ベジブロスの作り方
材料(約1リットル分)
・野菜の皮やヘタなど……両手いっぱい(250g程度)
・水……1300ml
・酒……小さじ1
※分量は目安です。記載よりも野菜くずが少なかったり多かったりしても大丈夫です。
※すぐに野菜くずがたまらない場合は、タッパーに野菜くずを入れて冷蔵庫もしくは冷凍庫で保存しながらためていきましょう。
作り方
1. 鍋に水と野菜のくず、酒を入れて火にかけ、弱火で20~30分煮込む。
2. 火を止め、自然に冷ます。
3. ざるで野菜を漉して、冷蔵庫で保存する。
※野菜が少なかったら、昆布や舞茸、切り干し大根など、乾物を入れても。
※沸騰させると野菜の苦みが出るので火加減に注意する。
※賞味期限は冷蔵で3日、冷凍で1か月程度。
向いている野菜
玉ねぎは絶対におすすめ! 抗酸化作用も旨みもたっぷり含まれています。
ほかにも人参や大根の皮やヘタ。また、リンゴなどフルーツの皮やヘタもOK。キノコの軸やパセリの軸、長ネギの葉や根、トウモロコシの芯や生姜の皮など、基本的にどんな野菜を使っても大丈夫です。
向いていない野菜
ですが、苦みや色が出てしまう野菜もあります。
キャベツの芯、ブロッコリー、カリフラワー、菜の花などは苦みが、紫キャベツや紫玉ねぎ、ナスなどは色が出てしまうので、気になる方は避けましょう。
農薬が気になるときは
ボールに小さじ1の重曹を入れて溶かし、野菜を30秒~1分間浸し、流水で洗い流しましょう。
1分以上浸してしまうと、栄養素が溶け出してしまうので注意してくださいね。
どんな料理にも使える!ベジブロス活用レシピをご紹介
ここからはベジブロスの活用法をご紹介します。ポトフのように野菜がたっぷり入ったスープや、スパイスの効いたスープカレー、トマトベースのパエリアなど、いろんなアレンジがもりだくさん! ぜひ参考にしてくださいね。
野菜ごろごろスープ
材料(4人分)
・ベジブロス……800ml
・玉ねぎ……1個
・人参……1本
・じゃがいも……2個
・ゴボウ……適量
・ブロッコリー……適量
・エリンギ……適量
・ミディトマトorプチトマト……適量
・厚切りベーコンorウインナー……適量
・塩、こしょう……少々
作り方
1. 野菜を食べやすい大きさにカットする。
2. 鍋を熱して厚切りベーコンを入れ、焼き目をつける。
3. 2の鍋にベジブロスを入れ、ブロッコリーとトマト以外の野菜を入れて煮込む。
4. じゃがいもが柔らかくなったらブロッコリーを入れてしばらく煮込み、火を止めて塩、こしょうで味を整え、トマトを入れて蓋をする。
5. 冷めたら冷蔵庫で一晩寝かせる。
6. 食べる前に火にかけて温める。
7. 器に盛り付けて、お好みで塩、黒こしょう、オリーブオイル、粉チーズをかける。
※野菜は冷蔵庫にあるお好みの物で大丈夫です。
※一晩おくと味が染みて美味しくなります。時間がない場合は最低1時間くらいは常温でおいてから温めてお召し上がり下さい。
スープやカレー、お味噌汁もベジブロスで作るという@tomokoasaさん。今回は野菜のごろごろスープのレシピを教えていただきました。まさに実も皮もヘタも根っこも、野菜のすべてをいただけるお料理。味付けも塩こしょうでシンプルに作り、仕上げにお好みでオリーブオイルと粉チーズでアクセントを。まずはじめに作ってみたいベジブロスのアレンジレシピです。
お豆とチキンの煮込み
材料(4人分)
【A:人参のスープベース】
・人参……3本
・玉ねぎ……1個
・ニンニク……2片
・牛乳……200ml
・塩、こしょう……少々
・鶏もも肉……1枚
・ヒヨコ豆……カップ1(水煮缶詰でOK)
・トマト缶……1缶
・ベジブロス……200ml
・人参のスープベース(A)……200ml
・ローリエ……2枚
・塩こしょう……適宜
人参スープベースの作り方
1. 人参と玉ねぎを小さめにカットし、厚手の鍋でニンニクのスライス、塩こしょうと一緒に中火でゆっくり炒める。
2. 人参が柔らかくなり、玉ねぎの色が変わったら牛乳を入れ、温まったら火を止めて粗熱をとる。
3. ミキサーかフードプロセッサーでペースト状にして完成。
お豆とチキンの煮込みの作り方
1. 鶏もも肉をフライパンで焼き目がつくまでこんがり焼く。中まで火が通らなくてもよい。
2. 厚手の鍋にベジブロスと人参スープベースを入れる。
3. 5のベジブロスと人参スープベースがぐつぐつしてきたら、トマト缶とヒヨコ豆、ローリエを加え、1も合わせて煮込む。
4. とろみがついてきたら塩こしょうを入れて、味をととのえたらできあがり。
このベジブロスにはローズマリーを使用していると教えてくれた@machikoaさん。洋のお料理にはハーブを入れるのもいいですね。ベジブロスとチキンからも出汁が出るので、コンソメや鶏ガラスープの素などは必要ありません。野菜の種類が少ないメニューでも、ベジブロスにたくさんの栄養素がとけています。
煮込みハンバーグのデミグラスソース
材料
・玉ねぎ(スライス)……1/2個
・しめじ……1/2パック
・ブラウンマッシュルーム(スライス)……4個
・バター……適量
・ベジブロス……350ml
・赤ワイン……50ml
・ドミグラスソースの素(ルウ)……2個
作り方
1. 玉ねぎ、しめじ、ブラウンマッシュルームをバターで炒める。
2. ベジブロス、赤ワイン、ドミグラスソースの素を入れて煮込んだら完成。
デミグラスソースにもベジブロスが使えます。お水をベジブロスに代えるだけで栄養満点のソースに。@nocci_ruzagoさんは今回ルウを煮込む前に、具材を炒めてから、ベジブロスとルウを入れ、ソースにも野菜の食感と旨みをプラス。ひと手間でおいしさが変わります。
野菜たっぷりスープで作るリゾット
作り方
1. オリーブオイルをひいた鍋でニンニクを炒め、香りが出てきたら食べやすい大きさにカットした野菜(お好みで)を炒める。
2. ベジブロスと昆布を入れて加熱する。
3. 塩、こしょう、クミンなどお好みのスパイスで味付けする。
4. スープとしていただいたあと、残ったスープに炊いたご飯を加えてさっと加熱し、ポーチドエッグ、三つ葉など香味野菜をトッピング。オリーブオイル、パルミジャーノ・レッジャーノをかけるとおいしい。
@konami97さんに教えていただいたアレンジレシピはベジブロスを使った野菜たっぷりのスープで作るリゾット。野菜の旨みがたっぷり溶け出したスープに、炊いたご飯を入れて作るから、あっという間においしくて栄養たっぷりのリゾットが完成! ポーチドエッグやパルミジャーノ・レッジャーノをトッピングに加えると一段とおしゃれになりますね。
ソーセージとレモンのパエリア
材料
・ニンニク(みじん切り)……1〜2片
・玉ねぎ(みじん切り)……1/2個
・ソーセージ(輪切り)……2本
・トマト缶又はトマトジュース無塩……1/2カップ(100ml)
・レモン(スライス)……1/3個
・ベジブロス……180ml
・水……180ml
・塩こしょう……少々
・コンソメ粉末……小さじ1/2~1(コンソメ固形1/2個)
・塩……小さじ1/2〜1
・オリーブオイル……適量
・米……2合
・バジル又はオレガノ(お好みのハーブ)……適宜
※ベジブロスに入れた野菜によって苦味が強い場合は、ベジブロスを半量の90mlに、水を270mlにする。
作り方
1. 材料を切り、米を洗ってザルにあげておく。
2. フライパンにオリーブオイルを大さじ1ほどしき、ニンニクを入れ中火にかける。
3. 温まり香りが立ったら、玉ねぎ、ソーセージの順に炒める。焼き色がつくまでしっかりと炒める。
4. 塩こしょうをする。
5. ソーセージを半分ほどお皿にとる。
6. トマト缶を加え炒め水気を飛ばす。
7. 米を入れ軽く炒め、オリーブオイルをひと回し足し入れる。
8. ベジタブルブロス、水、コンソメを入れ、味をみて塩を入れる。
9. とっておいたソーセージ、レモンを並べハーブをふる。
10. 蓋をし中火のまま6分(パチパチと音がしてくる)。
11. 弱火にし10分。
12. 火を止め10分蒸らしてできあがり。
@_erami_81さんには、トマトベースのベジブロスを使ったパエリアのレシピを教えていただきました。トマトベースにすることで、具材のトマトともなじみがよくなり、旨みもアップ。使う野菜の種類によってベジブロスの風味が変わってくるので、それによって展開するお料理を変えていけたら上級者ですね!
丸ごと新玉ねぎのオニオングラタンスープ
新玉ねぎが丸ごと入ったオニオングラタンスープを作った@harumama_ponさん。電子レンジとトースターを使って簡単に作れるレシピを公開されていますが、こちらの水とコンソメの分量をベジブロスに代えて、作られたのだそう。新玉ねぎもそろそろ終盤。とても作りやすくまとめられているので、いまのうちにチャレンジしたいレシピです。
スープカレー
材料(2~3人分)
・ベジブロス……1000ccほど
・玉ねぎ(繊維方向にスライス)……中1個
・トマト缶……1/2個
・ニンニク(すりおろす)……1片
・しょうが(すりおろす)……1片
・カレー粉……大さじ1.5~2
・バジル……小さじ2
・塩……小さじ1/2
・トッピング用に好みの野菜、キノコ、お肉類(じゃがいも・ブロッコリー・カリフラワー・ほうれん草・蓮根・エリンギ・鶏もも肉・ベーコン・ゆで卵などお好みで)
作り方
1. 玉ねぎを飴色になるまで炒めたら、すりおろしたニンニクとしょうがを加えてさらにしっかり炒める。
2. トマト缶を加えて、トマトをつぶしながら水分がなくなるまで炒める(ここまで中〜強火、焦げそうになったら、その都度差し水をする)。
3. 調味料をすべて加えたら、弱火にして混ぜ合わせる。
4. ベジブロスを加えたらしっかり混ぜ合わせて20分煮込む。
5. 煮込む間にトッピングの準備(素揚げ、茹で、ソテーなどお好みで)をして、器によそったスープカレーの上に盛り付けて完成!
「ベジブロスの旨味と、じっくり炒めた新玉ねぎの甘みで、おいっしかったー!」という@maromeshi_1380さんのスープカレーのレシピ。旦那さまは3杯もおかわりしたのだそう! カレー粉があれば、特別なスパイスを用意しなくていいからチャレンジしやすいのが嬉しいです。
焼き野菜とチキンのスープカレー
材料
【A】
・鶏肉(手羽元)……8本
・ターメリック……大さじ1
・塩こしょう……適量
【B:ベジブロス】
・水……1500ml〜中位の鍋にいっぱい
・野菜の皮とヘタ(玉ねぎ、にんじん、しょうが、ピーマン、パプリカ)
※この野菜の実の方はDでスープカレーの具に使う
・塩……ひとつまみ
【C:スープカレーのベース】
・ニンニクみじん切り……大きめ2かけ
・生姜みじん切り……2かけ
・玉ねぎみじん切り……1個
・キャベツ荒みじん……玉ねぎと同量くらい
・にんじん……1本(食べやすい大きさにカット)
・トマト……大きめ1個(サイコロ大にカット)
・白ワイン……大さじ2
・ココナツパウダー……60g
・レモン……1/4個
・ホールクミンシード……小さじ2
・ローリエ……二枚
・鷹の爪……お好みの量
(あればホールのクローブ小さじ1、シナモン小さじ1/2、カルダモン6個、フェネグリーク小さじ1も加える)
・ターメリックパウダー……大さじ1
・チリパウダー……小さじ2
・ガラムマサラ……小さじ2
(あればオールスパイス、コリアンダー、フェンネル小さじ、バジル……各小さじ2)
・塩、こしょう……適量
・砂糖……適量
【D:スープカレーの具として焼き野菜にする】
・ピーマン(半分にカット)
・かぼちゃ(薄切り)
・レンコン(輪切り)
・オクラ(カットなし)
・ゴーヤ(ワタをとって輪切り)
・パプリカ(縦切り)
・ナス(1/2にカットし 隠し包丁を入れる)
・その他トッピング(ゆで卵、みず菜など)
……すべて適量
作り方
【A:手羽元下処理】
塩こしょうした手羽元にターメリックを軽くまぶし、フライパンに油をひき、焼き目をつけてフライパンから取り出しておく(後で煮込むのである程度でOK)。
【B:ベジブロス】
1. Aのフライパンに玉ねぎ、にんじん、しょうが、ピーマンとパプリカのヘタを入れて少量の塩を入れて炒める。
2. 焼き目がつき香ばしくなったら水を入れ、フライパンについた旨味も取るようにして、鍋に移す。
3. あればネギの青い部分を加えて一煮立ちさせたら、弱火でふつふつと20分ほど煮込み、ざるで野菜をこしてベジブロスの完成。
【C~D:カレーの素〜仕上げ】
1. フライパンに油をひき、みじん切りしたニンニクと生姜、ホールのクミンシード、ローリエ2枚、鷹の爪を入れて中火にかける。あればホールのクローブ、シナモン、カルダモン、フェネグリークも加える。
2. スパイスがパチパチしてきたら、みじん切りした玉ねぎとキャベツを入れて、玉ねぎが飴色になるまで炒める。
3. 飴色になったらココナツパウダー、白ワインを回しかけてアルコールを飛ばす。
4. カットトマトを入れて火が通ったらAの手羽元を入れてパウダーのターメリック、チリ、ガラムマサラ、(あればオールスパイス、コリアンダー、フェンネル、バジル)とココナツパウダーを加えてよく混ぜる。
5. Bのベジブロスを1500mlほど加えてにんじんを入れ、塩こしょう、砂糖、レモン1/4個ほどの絞り汁を加え蓋をして30分ほど煮込む(スープが足りなければ追加でベジブロスか水を足す)。
6. 味を見て塩で調整する。
7. Dのみず菜以外の野菜をオリーブオイルで焼き目がつくまで炒めて、ゆで卵とともにスープカレーにトッピングして完成。
@cookinnggotoさんには、さまざまなスパイスを組み合わせて作る本格的なスープカレーのレシピを教えていただきました。おうちでスパイスからカレーを作りたい方はぜひ参考にしてください! そして、注目のポイントはベジブロスを作る際に、煮出す前に一度炒めている点。
「これまでベジブロスは、ただ茹でたものを使用しておりました。それでも充分美味しかったのですが、茹でた際の香りと味に若干、野菜のえぐみを感じていた為、炒めてから茹でてみたところ香りの高いスープとなり味にもやわらかさと甘みがでました」(by @cookinggoto)
これには目から鱗でした。野菜の種類にもよりますが、同じように若干えぐみを感じられる方はぜひこちらのやり方を試してみてはいかがでしょうか。
ベジブロスを活用して、野菜を丸ごといただこう!
ベジブロスのいいところは、じつは栄養豊富な野菜の皮やヘタの部分を使って、丸ごと野菜の栄養分をいただけるところ。野菜の命をどこもムダにすることなく、丸ごといただけるんですよね。しかも、とっても簡単に作れてしまいますし、アレンジも冷凍もできます。
最近、野菜がとれていないなと気になるときも、ベジブロスのストックがあれば、それを使ってお味噌汁やスープを作ってしまえば、補うこともできます。
ぜひ、今日からベジブロス生活を始めてみませんか?