
“長生き調味料”と電子レンジにお任せ

料理家としてのキャリアは50 年以上。2022年2 月に満80 歳を迎える村上祥子(さちこ)さん。
これまでに出版された500冊以上の著作は累計976万冊を超え、現役高齢料理家としての生き方にも注目が集まっています。
2021年9月に発売された『80歳、村上祥子さんの元気の秘訣は 超かんたんレンチンごはんだった!』(世界文化社)は、電子レンジ調理だけで簡単に作れ、“筋・骨・腸”を健康に保つためのレシピが満載。
シニアに向けてはいるものの、「人間は50歳を過ぎるころから筋力も免疫力も落ちてきます。人生100年時代に向けて、30代、40代の方もそのまま取り入れていただいてよいと思います」と村上さん。
村上さんが健康効果をアップさせるために考案した全8種類の“長生き調味料”は、簡単に作れて作り置きにぴったりです。調理も電子レンジで加熱するだけで完成するものばかり。
毎日を忙しく過ごす若い世代にもぜひおすすめしたい1冊です!
気になる本書の中身をご紹介!
全8種類の「長生き調味料」とは?

効率よく体に栄養素を届けるために村上さんが考案した“長生き調味料”は全8種類。
血行促進、発酵パワーで“腸活”にもおすすめの「酢キャベツ」「酢玉ねぎ」、にんにくと玉ねぎのダブル効果で血流アップが期待できる「にんたまジャム®」、温活&免疫力アップにおすすめな「オイルしょうが」「しょうゆしょうが」「甘酢しょうが」、たんぱく質とカルシウムの効果をサポートする「しいたけ醤(ジャン)」「サバそぼろ」です。
本書では、“長生き調味料”の作り方と、これらを使って簡単に必要な栄養素が丸ごととれる、1人分電子レンジ調理を紹介しています。
簡単3ステップで完成!

ムラカミ式健康レシピは、「たんぱく質もカルシウムも!スペシャル鉄骨ごはん」「おなかスッキリ&免疫力強化 腸活おかず」「面倒なときのSOSストック 冷凍野菜パック」の3つのパートに分かれています。
たとえば「スペシャル筋骨ごはん」は、1品でたんぱく質、カルシウムが1日必要量の3分の1(成人の場合)がとれるものばかり。ムラカミ式方程式に沿って“長生き調味料”をプラスすることにより、さらに効率よく丈夫な筋骨づくりをサポートします。
しかもどれも作り方は簡単! 1.耐熱ボウルに食材と調味料を入れる、2.電子レンジで加熱、3.取り出して混ぜる、の3ステップで完成します。
掲載されているメニューは、カレーや麻婆豆腐、エビチリ、ハンバーグ、ビーフシチューなどバリエーション豊富。毎日のごはん作りで活躍してくれること請け合いですよ!
元気の秘訣がいっぱい!村上祥子さんにインタビュー

提供/世界文化社
毎日のレンジ生活に加え、家事や仕事で体を動かすことも大事にしているという村上さん。毎朝トランポリンを100回飛ぶほか、食材の買い出しで17000歩歩くことも。
そんな村上さんに著書やライフスタイルについてインタビュー。毎日を元気で過ごすための秘訣がいっぱいです。
レンジなら手間がかかるハンバーグも簡単
――“長生き調味料“”は全8種類ありますが、全部は作らずに好きなものだけを作っても良いのでしょうか?
はい。お好みで選んでください。
たとえば、「スペシャル鉄骨ごはん」のところで、サバ缶とイワシ缶に合わせる“長生き調味料”は、「にんたまジャム®」「酢たまねぎ」「酢キャベツ」の中からどれか1つを選びます。
また、サラダチキンや卵などのたんぱく質食材に合わせる“長生き調味料”も「サバそぼろ」か「しいたけ醤」のどちらかを選んでいただければ。
ちなみに私のお気に入りは、「にんたまジャム®」「酢キャベツ」「サバそぼろ」です。
――“長生き調味料”以外に、常備しておくと便利な食材はなんでしょうか?
私が常備しているおすすめ食材は、6Pチーズ、卵、納豆、そして大人用粉ミルクの「プラチナミルクforバランス」です。
筋肉量を増やし、骨量を減らさないようにするには、乳製品をこまめにとることも大事。手軽に栄養バランスが整えられる「プラチナミルクforバランス」は、特にシニアの乳製品のとり方としておすすめです。
――掲載されているレシピの中で、特におすすめのものを教えてください。
「サバ缶ピーマン」(P22掲載)、「半熟煮卵」(P57掲載)、「ハンバーグ」(P70掲載)、「焼きなす風」(P96掲載)、「冷凍野菜パック」(P100掲載)です。
今回はその中から「ハンバーグ」のレシピをご紹介します。手間がかかるハンバーグですが、レンジを使えば加熱時間は3分未満で済みますよ。
※「ハンバーグ」のレシピは「サバそぼろ」のレシピとともにインタビューの最後でご紹介します!
―― 電子レンジ様様ですね! 電子レンジ調理する上でポイントや注意点があれば教えてください。
加熱する食材の重量をはかること。このとき調味料は計算に入れません。カレーやスープのときは、水の重さも加えます。
100gにつき600Wの電子レンジで2分加熱すれば、全レシピが完成しますよ。
おうちごはんとは家族とともに食べるごはん
―― 毎朝100回のトランポリンに始まり、村上さんは家事に仕事にととにかくよく動いていらっしゃいますよね。年齢を重ねても動ける体でいられる秘訣を教えてください。
3食食べることと、ムラカミが決めた以下の「食べ力(たべぢから)®」を守るようにしています。
1. たんぱく質食材……毎食100g
2. 野菜……毎食100g
3. 炭水化物(糖質)……毎食ごはんなら茶碗1杯(150g)
4. 乳製品……牛乳なら1日1カップ(ラクトフェリン、ロイシンの力)
5. 発酵食品……納豆、ヨーグルト、ぬか漬け、甘酒、みそ、チーズなど
そして「もう歳だから……」とか「コロナのせいで……」などいいわけを考えず、食材購入ひとつでも、いつもの店舗ではない隣町まで足を延ばす。歩くことにつきます。
―― 日々の積み重ねが大事ですね。村上さんは食器も道具も最低限に絞って暮らしをコンパクトに整えられていますよね。物をなかなか捨てられない人へ、アドバイスがあればお願いします。
捨てられない人は、無理して捨てなくていいと思います。ず~~っと持っていても大丈夫。きっと誰かが好意をもって片付けてくれます。
我が家では夫が子どもたち3人のアルバムを3冊用意して、家族写真などを1枚ずつ貼りました。子ども3人が進学で家を離れるとき、アルバムも彼らのタンスも机も全部持って行ってもらいました。
私は、かっこいいことが大好きです。 最後まで気取っていたいと思います。かっこいいはエネルギーです。エネルギーを満タンにしておくために、身辺整理をして、時間をかけなくても生活できるようにしています。
―― 来年2月には満80歳を迎えられますが、80代はどんなふうに過ごしていきたいでしょうか?
今まで通りに人生を歩んでいきます。歩みを止めることはありません。
血液由来の疾患(糖尿病、心臓病、高血圧……)の時代は終わり、これからは健康格差がおこります。細胞の健康度を上げる簡単でもおいしい食生活を提案していきます。
―― 今後のご活躍も楽しみです。そんな村上さんにとって「おうちごはん」とは何でしょうか?
ムラカミにとって「おうちごはん」=家族とともに食べるごはんです。コロナ禍で息子一家と会えませんが、いつかは解決される日がくることでしょう。
―― 最後に、おうちごはん読者に何かメッセージがあればお願いします。
お元気でお過ごしでいらっしゃいますか。世界文化ブックスより『80歳、村上祥子さんの元気の秘訣は超カンタンレンチンごはんだった』を出版しました。
人生100年時代、健康で生き生きとした生活を送る鍵は「食べ力®」。本書では「筋・骨・腸」を健康に保つためのレシピを紹介しています。
筋肉と骨が丈夫なら、歩ける、冷えない、腰痛も解消です。野菜などの今の栄養知識も書きました。ご家庭で参考になると思います。ぜひご活用ください。
レシピ本掲載のレシピを公開!
レシピ本に掲載されている中から、“長生き調味料”の「サバそぼろ」と、「サバそぼろ」を使った「ハンバーグ」のレシピをご紹介。
「サバそぼろ」は冷蔵で2週間、冷凍で2カ月間保存できます。牛ひき肉と合わせれば、おいしいハンバーグが簡単に作れますよ!
サバそぼろ

材料(できあがり85g分)
・サバ缶(水煮)……1缶(190g)
作り方
1. サバ缶は身と缶汁に分ける。フード プロセッサーに身を入れて細かく攪拌する。
2. 耐熱ボウルに1の身を移し、ふんわりとラップをかけて電子レンジ(600W)で3分加熱する。取り出して泡立て器でほぐし、ラップをかけずに電子レ ンジ(600W)で3分加熱する。

3. 再びフードプロセッサーで身を攪拌して細かくする。保存容器に入れて保存する。

缶汁はドレッシングに活用
瓶にサバ缶(水煮)の缶汁40g、酢とオリーブオイル各大さじ1、しょうゆ2~3滴を入れ、ふたをしてふり混ぜる。
ハンバーグ

材料(1人分)
・牛赤身ひき肉……80g
・玉ねぎ……1/4個(50g)
【A】
・サバそぼろ……大さじ2
・パン粉……大さじ2
・塩、こしょう……各少々
【B】
・ウスターソース、トマトケチャップ……各大さじ1
・片栗粉……小さじ1/2
・水……大さじ3
・パセリ(みじん切り)、レタス……各適量
作り方
1. 玉ねぎはみじん切りにする。
2. ボウルにAを入れて混ぜ、ひき肉、1を加えて全体がなじむ程度に混ぜ、サラダ油少々(分量外) をつけた手でハンバーグ形にまとめる。
3. 耐熱ボウルにB を入れて混ぜ、2をのせ、スプーンで調味液をすくってかける。ふんわりとラップをかけ、電子レンジ(600W)で2分30秒加熱する。
4. 器に3を盛り、パセリを散らし、レタスを添える。
レンジのコツ!
電子レンジ加熱は塩分のついたところから火が通ります。肉だねに調味液をかけると加熱ムラが防げます。

手間なくおいしく栄養丸ごと!
手をかけた料理はおいしいけれど、忙しいときは負担になるし、歳をとるほどおっくうになるもの。でも、電子レンジをフル活用すれば、ラクにおいしく続けられます。
“長生き調味料”は長期保存できるものも多く、使い勝手抜群。簡単に必要な栄養素が丸ごととれるので、ぜひ活用してみてくださいね!

村上祥子さんプロフィール

提供/世界文化社
料理研究家。管理栄養士。公立大学法人福岡女子大学客員教授。福岡県出身。料理家のキャリアは50 年以上。2022 年2 月に満80 歳を迎える。
43 歳のとき、福岡女子大学で栄養指導講座を担当。糖尿病治療食開発のため、油控えめの1 人分が短時間に調理できる電子レンジに着目し、研鑽を重ね、電子レンジ調理のオーソリティとなる。
生活習慣病予防や時短料理・発酵パンなど、時流に合ったレシピ開発に精力的に取り組むとともに、実生活のアイデアから生まれたバナナ黒酢やたまねぎ氷Ⓡ、にんたまジャムⓇ などの健康食がたびたび大ヒット。「ちゃんと食べて、ちゃんと生きる」をモットーに、各メディアで活躍中。
500 冊以上の著作は累計975 万部を超え、現役高齢料理家としての生き方にも注目が集まる。福岡女子大学の村上祥子料理研究資料文庫収載の50 万点の資料は一般公開されており、文庫内の検索が可能となっている。
(text by コノ)