手間暇をかけ、季節を越えて楽しむ“仕込みもの”
“仕込みもの”とは、旬のうちにその食材の美味しさを保存し、その美味しさを季節を越えて楽しむための知恵。最近では、その味わう楽しみに加え、手間暇をかける仕込みそのもの、育てる過程も楽しむ人たちが増えてきました。
ていねいな暮らしの良さや幸福感を味わえる“仕込みもの”を、この週末体験してみませんか。
いつでも楽しめる“仕込みもの”
旬のフルーツには、自然の甘さと栄養がたくさん詰まっています。そんな旬のフルーツを砂糖で煮詰めて仕込む、自家製ジャムは旬によってフルーツは変わるものの、通年楽しめる“仕込みもの”です。
たくさん作った自家製ジャムはパンに塗ったり、ヨーグルトにかけたり、炭酸で割ってジュースにしたり。可愛いガラスジャーに詰めておすそわけしても、喜ばれます。
苺にオレンジ、ブルーベリーといったフルーツは定番ですが、梅、ゆず、トマトもジャムに合います。牛乳やクリームを使った、ミルクジャムも人気です。
フルーツのコンポートは手軽な“仕込みもの”の代表。冷蔵庫にフルーツのコンポートがあると、朝ごはんやおやつの楽しみがグーンとアップします。
そのままでお茶請けに、ゆるくホイップした生クリームを添えてデザートに。フレッシュで食べるよりも、格段に楽しみ方が広がります。
こちらは、皮つきのオレンジやレモンをグラニュー糖で煮詰め、数日がかりで作る「コンフィ」。そのままでも、ほろ苦い皮が美味しいお菓子ですが、チョコレートでコーティングしてオランジェットとしても楽しめます。
皮ごといただくので、ワックスコーティングしていないオレンジやレモンを選んで作りましょう。
ガラッと雰囲気が変わって、昔ながらの“仕込みもの”と言えば漬物。中でも、自分好みのぬか床に育てる楽しみも味わえるぬか漬けは、通年楽しめる“仕込みもの”です。
今年もこの季節がやってきた。季節で楽しむ“仕込みもの”
5月~6月頃に出回る青梅が出始めると、インスタグラムでも続々投稿されるのが「梅酒」や「梅シロップ」などの“仕込みもの”Pic。
氷砂糖と一緒にジャーに詰まった青梅を見ると、夏はもうすぐ!と感じる方も多いのでは。
青梅の旬が過ぎると、完熟梅の季節です。大粒の柔らかい梅干しをつくりたいなら、完熟梅を使いましょう。
筆者は市販の梅干しが苦手だったのですが、祖母が漬ける梅干しは好きでした。しょっぱすぎず、ちょっと硬い皮とやわらかい果肉の食感の違いが美味しい梅干しは、祖母を思い出す味です。
自家製の“仕込みもの”の良さは、好みの味にできるところ。そして、その味わいはすっきりと雑味のない、素直な味わいが魅力です。
初夏に仕込むラッキョウ漬も、自家製なら辛さ甘さ、醤油のありなしも好みで漬けられますよ。
冬の“仕込みもの”といえば、自家製のイクラ。良い筋子が手に入ったら、ぜひイクラを作ってみましょう。薄皮から卵を取る作業が慣れるまではちょっと手間ですが、慣れてしまえば、もう市販のイクラは買えない・・・!
冷凍しておけるので、一度に漬けて、大切に食べたい冬の“仕込みもの”です。
文化出版局
仕込みもの
価格:3,024円(税込)
「ものと、人間と、風土と、時間との関わりによって作り出される底力のあるうま味」こそが、保存食の醍醐味だ。梅仕事に始まり、漬ける、干す、発酵させる等々を通し、「仕込むこと」の大切さ、喜びを解き明かす、辰巳流保存食の集大成。
購入はこちら料理研究家 辰巳芳子さんのベストセラー『仕込みもの』。247ページある大作で、いろんな“仕込みもの”の仕込み方、日本料理の基本が学べます。
“仕込みもの”で手間暇かけた丁寧な暮らし、始めてみませんか?