すべて手摘み!小豆島のオリーブ農家「井上誠耕園」でオリーブ収穫体験/前編

毎日の「おいしい」が生まれる場所を訪ねて、おうちごはん編集部がそのおいしさの秘密に迫る特別企画。今回は日本のオリーブ栽培発祥の地、香川県小豆島で親子三代続くオリーブ農家「井上誠耕園」にて旬を迎えたオリーブの収穫を体験してきました。Part1では9~11月に収穫される貴重なオリーブの手摘み体験と選果作業をご紹介します。

実りの季節を迎えた、小豆島の柑橘・オリーブ農家「井上誠耕園」へ

みなさんは、オリーブの実がなっている様子を見たことはありますか?

毎年5月下旬から小さな白い花が咲き始め、9月中旬~11月下旬頃まで収穫が行われる香川県小豆島産のオリーブ。今回、オリーブ農園での収穫体験とオリーブオイル作りの現場を見学させていただける貴重な機会をいただき、おうちごはん編集部のかねこまとmicoが取材に行ってきました。

色々なお話を聞き、改めてオリーブってものすごく奥が深いなと実感。初めて知る“なるほど!”の知識をたくさん教えていただきましたので、体験の様子とともに、オリーブに関するさまざまな情報をみなさんにお届けします。

訪れたのは、香川県小豆島にて、1940年(昭和15年)より三代に渡って柑橘とオリーブを栽培している「井上誠耕園」。こちらの農園では、約5,000本の様々な品種のオリーブが育てられており、樹に実った果実はすべて手摘みで大切に収穫されています。

小豆島にオリーブが植えられて、今年で111回目の秋

1908年(明治41年)、政府によってオリーブの試験栽培地に指定された三県のうち、小豆島だけが唯一栽培に成功。いくつもの困難を乗り越え、オリーブを守り育ててきた先人たちの努力と工夫のおかげで小豆島にオリーブが根付き、今年111回目の秋を迎えました。

お日さまたっぷり、南向きの斜面に広がる百年の丘

▲井上誠耕園のオリーブ農園について説明をしてくださる三代目園主の井上さん

「みなさんが立っているところは百年の丘という場所です。小豆島でオリーブ栽培が始まって100周年を迎えた2008年から3年間かけて、荒れた山の斜面を開墾しました。オリーブの収穫体験を通して、製品作りの難しさやオリーブの素晴らしさ、わが故郷自慢すべき小豆島にちょっと感動して帰ってもらえたらと思います。(三代目園主井上さん)」

オリーブの樹は、大きいものでは3~4mくらいあるそうです。高いところになっているオリーブは、脚立を使いながら、すべて人の手によってオリーブの実を傷つけないよう丁寧に収穫されています。

昭和15年にどんぐり林を開墾して八朔の樹を1本植え、太平洋戦争が終わった翌年の昭和21年に戦地から帰ってきた井上さんの伯父様とお父様が56本のオリーブの苗木を植えたのが井上誠耕園の始まり。誠実に大地を耕し立派な園地を創ろうと畑を広げ、農業の価値を高めようと試行錯誤を繰り返してきたそうです。現在は三代目園主である井上智博さんと約160名のスタッフの皆様が、柑橘とオリーブの栽培から加工・販売までを一貫体制で行っています。

いよいよ、オリーブの収穫体験

井上誠耕園ではアザパ、アルベキーナ、ルッカ、マンザニロ、ピクアルなど8種類のオリーブが育てられており、この日は食用と化粧用のオイルや新漬けなどオールマイティーに対応する「ミッション」という品種のオリーブを収穫しました。
オリーブにこんなにいろいろな品種があるなんて、みなさんご存じでしたか?

こちらが今回収穫した「ミッション」という品種のオリーブ。先がとがっている形が特徴で、井上誠耕園のロゴマークもこのミッションの形をモチーフにして作られたんだそうです。

実と実をぶつけないように取るのがポイント!

「緑果オイルと新漬け用に使う緑の実を収穫していきますので、ひとまずどんどん取ってください。傷がついたところから酸化して黒くなっていくので、実と実をぶつけないように取るのがポイントです!(スタッフ濱中さん)」

▲収穫したオリーブを私たちに見せてくれる笑顔が素敵なスタッフの濱中さん

スタッフの濱中さんによると、オリーブの色の違いは熟し方の違いによるものだそう。樹についている果実が少ないところの実には栄養が集まるので、早めに熟して色がつくとのこと。熟度の若い緑色のきれいな実は新漬け用、傷のあるものは緑果オイル用、完熟した赤や黒の実は化粧用のオイルに使われるそうです。

時間を忘れてしまうほど夢中に

収穫するときには、こちらの前掛けをつけて。収穫したオリーブは、前掛けのポケットにどんどん入れていきます。

いざ手摘み体験を始めると……おうちごはん編集部のかねこまもmicoも、時間を忘れてしまうほどに収穫に没頭(笑)。実を傷つけないように気をつけながら、一粒ずつ大切に収穫しました。

途中、同じ畑で栽培された採れたての甘いみかんをおやつにいただいたり、スタッフの方々にオリーブにまつわるお話を伺いながら、たわわに実ったオリーブを1時間近く夢中になって収穫しました。

摘みたてフレッシュグリーンの若い果実たち

この日にみんなで収穫したオリーブの果実がこちら。見ているだけで元気になれそうな、生命力あふれるグリーンが美しいフレッシュなオリーブの実は、色や大きさによって選別を行うために選果場へ運ばれます。

鮮度がいのち!「選果」への並々ならぬこだわり

収穫後すぐに選果場に運ばれたオリーブは、毛布が敷かれた台の上に広げられます。よく見ると仕分けしたものを入れるカゴの中にも座布団が。オリーブの実に傷がつかないように細心の注意が払われています。

熟度によって8段階に仕分け

オリーブの実は熟度によって味や香り、含まれる栄養素の量が異なります。そこで井上誠耕園では、実の熟度を8段階に分けて、熟度を見極めながら独自の製品づくりを行っています。

収穫後24時間以内に選別

「井上誠耕園では収穫したオリーブの果実の大きさや熟度、傷の有無によって全て手作業で仕分けています。『井上さんのところは、よくここまで仕分けるね!』と言われるくらい、かなり選果にはこだわっています。それは、色も熟度も違うオリーブ一粒一粒に適した用途で一番いい製品にしてあげたいという気持ちがあるからこそ。緑の果実だと搾りたての緑果オリーブオイルという商品になったり、大きめの立派な果実は浅漬けに加工したり、時間と手間をかけて高品質で丁寧なものづくりをしています。(スタッフ斉藤さん)」

実の熟度を確認しながら適切なタイミングで収穫をするために、農園や選果場には全国から応援に駆け付けている季節アルバイトの方々も。多くの人々に助けられながら収穫されたオリーブの果実は、鮮度を活かすために24時間以内に一粒一粒人の目と手によって選別し、一粒ずつ用途を分けて加工されます。井上誠耕園の畑から生まれた商品には、時間と手間を惜しまないで丁寧なものづくりに取り組む、こだわりと愛情がたくさん詰まっているんですね。

選ばれしオリーブの果実たち

一年でわずか数週間しか収穫できない、きれいな緑色の若いオリーブ果実は、塩水に漬けて浅漬けに加工され、年に一度の期間限定「小豆島産新漬けオリーブ」として販売されます。

さて、選果作業の後は自然濾過にこだわって新鮮なオリーブ果実からオイルを搾っている園地内の搾油場へ。続きは、Part2でご紹介しますのでどうぞお楽しみに!

オリーブオイルを小豆島の自然農園「井上誠耕園」よりお届けします | 井上誠耕園

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