
変化するワインの楽しみ方
「新しい生活スタイル」に応じて、大きく変化しつつある私たちのライフスタイル。あらゆる場面で変化を感じる毎日ですが、おうちでのごはんの楽しみ方にもさまざまな変化が訪れているようです。
今回はワインの楽しみ方に訪れた変化に注目してみました。
サスティナブルなワインが流行中
最近よく耳にする「サスティナブル(持続可能な)」というキーワードは、ワインの世界でも流行中。今、世界中でサスティナブルワインに注目が集まっています。
ワインを造るために自然が破壊されていないか、雇用が守られているか、搾取や不均衡がないか、経済活動として破綻なく長く続けられるかなど、さまざまな社会的責任に配慮し、そのワインを造ること自体が社会的活動として持続可能であるのかを問いかける姿勢で、造り手の方々は「サスティナブル」なワイン造りに取り組んでいます。

今回、このサスティナブルなワインをテーマにしたワインと食のライフスタイルマガジン『WINE WHAT』の企画とおうちごはんがコラボレーション!
実力派ソムリエのみなさんに、おすすめのサスティナブルな「普段着ワイン」について語り合っていただきました。
実力派ソムリエが選ぶ「普段着ワイン」5選

おうちで楽しむのにぴったりな気負わないオーガニックワインとは?
実力派のソムリエのみなさんが選んだ「普段着ワイン」をご紹介します。
蒸し暑さを吹き飛ばしてくれるシチリアのグリッロ

セッテソリ
イニコン・グリッロ
生産国/地域 イタリア/シチリア
品種 グリッロ100%
まず一つめは、こちらの爽やかなボトルの白ワイン。シチリアのセッテソリという共同組合で造っているワインです。
レモンやマンダリンなどを思わせる柑橘系のアロマに、爽やかな花の香りや青パパイヤのニュアンスが彩りを添えます。味わいはフレッシュで、ミネラル感が豊富。キレのある爽やかな酸味が特徴です。よく冷やして飲めば、暑い夏にもぴったりなまさに「夏ワイン」!
前菜やサラダはもちろん、マリネした海老・イカなどの魚介類、グリル野菜や白身肉などとの相性も抜群です。
汎用性の高いシュペートブルグンダーのロゼ

ヴァイングート・テッシュ
ディープ・ブルー
生産国/地域 ドイツ/ナーエ
品種 ピノ・ノワール100%
続いては、色のきれいな夏向きのロゼワイン。ドイツのテッシュという造り手のロゼで、夏には格好の爽やかな味わいに仕上げられています。赤系果実のアロマに、若干ブラックペッパーなどを思わせるスパイスのニュアンスもあり、まさに夏向きのワイン。
ロゼというと「甘いのでは?」と思う方も多いですが、実は甘くないものも多く、ドイツで造られているロゼの大半がドライなんだとか。冷涼な気候条件の産地で造られるロゼは、料理との汎用性も高く、豚肉料理や点心などとの相性が良いそうです。
ボリューミーな食事とも合う、コクのある白

ライマット
オーガニック ヴェンターダ
生産国/地域 スペイン/カタルーニャ
品種 ガルナッチャ・ブランカ100%
続いては、スペインの代表的なオーガニックワインの造り手からセレクトしたコクのある白ワイン。緑がかった淡いレモンイエローの色合いで、洋梨や白桃などのふくよかな香りに、パイナップル、シトラス、ハーブなどのアロマも香ります。時間が経つとジャスミンティーやスモーク、バニラなどの複雑なニュアンスも。
少しコクのある味わいの白なので、冷やしてもおいしく、また少し温度があがっても楽しめるんだそう。酸味がおだやかでボリューム感のある味わいなので、前菜系から魚介、フライなどボリュームのある料理まで幅広く合います。鶏、仔豚、仔牛などと合わせてみるのもおすすめです。
やわらかなタンニンのシラー

ドメーヌ・オリオル
IGPペイ・ドック・モンミジャ・ジャン・ヴィアラード・シラー
生産国/地域 フランス/ラングドック
品種 シラー100%
こちらは、雨が少ないペイ・ドッグという地域で造られた赤ワイン。このワインの造り手は、ヨーロッパでオーガニックがブームになるよりずっと前からオーガニック栽培を始めていて、醸造でも化学物質やSO2を極力減らしています。
紫がかった濃厚な赤色のワインは、よく熟した黒系果実のアロマを主体に、ブラックペッパーなどのスパイス香、生肉やなめし革などの獣系の風味も楽しめます。口あたりはなめらかで、有機的な造りがきちんと反映している優しくてナチュラルな味わいです。夏場には少し冷やして飲むのもおすすめ。あまり大きなグラスには入れずに、タンニンのやわらかさが活きる小ぶりなグラスに注ぐのがおすすめです。
シャルキュトリ、焼き肉、煮込みなど肉料理全般と好相性で、土のニュアンスが感じられる野菜料理にも寄り添います。
夏場でも飲むと元気になれる赤ワイン

コノスル
オーガニック カベルネ・ソーヴィニヨン/カルメネール/シラー
生産国/地域 チリ
品種 カべルネ・ソーヴィニヨン49%、カルメネール26%、シラー25%
最後は、迷ったときに間違いなしのコスパの良い人気のチリワイン。3品種のブレンドで輝きのある深いルビー色の赤ワインです。
チェリー、ラズベリー、イチゴなどの果実香を主体に、チコリなどのヴェジタル、煙草やバニラなどの樽由来の複雑なニュアンスもある奥行きのある香りが特徴。果実味が強いイメージのチリワインですが、このワインはピュアでスッと入ってくるやさしいオーガニックな味わいです。
味わいはなめらかで、豊かなタンニンがあり、ふくよかな果実味が広がります。土壌由来のミネラル系の滋味は、牛、鴨、ラム、BBQなど、しっかりした肉料理とのマリアージュがおすすめです。
ワインに合うおつまみレシピ
ソムリエの方々が選んだサスティナブルな「普段着ワイン」の中から、今回は1つ目にご紹介したシチリアのイニコン・グリッロに合わせたおつまみレシピをご提案したいと思います!
今が旬の夏野菜ナスを使ったお手軽おつまみレシピです。爽やかなワインの酸味との相性もバッチリ! 早速作り方をご紹介します。
ナスと玉ねぎのアンチョビカナッペ

材料(2人分)
・ナス……1個
・玉ねぎ……1/2個
・にんにく……1かけ
・アンチョビフィレ……2切れ
・オリーブオイル……大さじ1
・塩……小さじ1/2
・バゲット……適量
・ミニトマト、チャービル(トッピング用)……お好みで
作り方
1. ナスを5mm角に切る。玉ねぎ、にんにく、アンチョビフィレはみじん切りにする。
2. フライパンにオリーブオイルとにんにく、アンチョビを入れて熱し、香りが立ってきたら玉ねぎを入れてしんなりするまで炒める。
3. ナスを加えて炒め、しんなりしてきたら塩を加えて仕上げる。
4. トースターで焼いたバゲットにのせ、お好みでカットしたトマトとチャービルをトッピングして完成!
アンチョビの塩気とワインの酸味がよく合う!

味付け自体はとてもシンプルなのですが、ナスと同じくらい玉ねぎもたっぷり入っているので甘みもあり、アンチョビの塩気が少し酸味のある爽やかなワインによく合います。
カナッペを食べた後にワインを飲んだときのすっきりとした後味がなんとも美味でした!
ワインと食のライフスタイルマガジン『WINE WHAT』でも掲載中!
今回ご紹介させていただいた内容は、2020年9月号の『WINE WHAT』にも掲載中!

記事は、『WINE WHAT online』でもご覧いただけます。
『WINE WHAT』の記事では、今回ご紹介した5つの「普段着ワイン」を選んだ実力派ソムリエのみなさんのweb飲み会での意見交換会の様子をお届けしています。
ワインのご紹介はもちろん、おうちで楽しんでいるペアリングの工夫なども語り合っているので、ワインラバーのみなさんには必見の内容です! おうちごはんの記事とあわせて、ぜひご覧くださいね。