季節の食材を使った簡単レシピが人気!松山絵美さんにインタビュー
プロフィール
松山絵美
料理研究家。4児の母。
ダイエットで心と体のバランスを崩した自身の経験から、間違ったダイエットによる心への影響や食の大切さを伝えるべく、季節の食材を使ったヘルシーな料理を提案。
唎酒師、ワインソムリエ、チーズコーディネーター、フードオーガナイザー、薬膳漢方マイスターといった食に関するさまざまな資格を持つ。
著書に『4児ママ・松山さんの薬膳効果つき やみつき節約めし』(主婦と生活社)、『松山絵美のカンタンなことしかやらないレシピ』( ワン・パブリッシング)がある。
Instagramアカウント:@emi.sake
家族のごはん作りは毎日が闘い!
――松山家は、体が大きくて大食漢のご主人と食べ盛りのお子さん4人の6人家族だとか。毎日、ごはんを作るの大変ですね。
かなりの量は作りますね。
主人は韓国にルーツがあるので、いろいろなおかずを食べたい人なんです。大体メイン2、3品に副菜が3品ぐらいで、それ以外に主人用に辛いスープを作ったりもします。
あと、今年の4月から長男と長女が中学生になったのですが、長女の方だけお弁当があるんですよ。
朝5時ぐらいに起きて作り始めないと間に合わないので、それが大変になりました。もう毎日が闘いです!
――お弁当も彩り豊かでとってもきれいですよね。そんな忙しい中で作ったとは思えないです!
ありがとうございます。一応、かわいく見えるよう、色合いなどは工夫しています。
ただ、ワンパターン化してきちゃってどうしようかなって。本人は「毎日そぼろでもいい」とか言っちゃってるんですけどね。そぼろが大好きなんですよ(笑)。
――ご家族が多いとそれぞれ食べたいものが違って、献立を決めるのに苦労することはないですか?
あります。そういうときは、じゃんけんとかで決めてもらいます(笑)。
基本的に献立は、肉、魚、野菜、海藻、豆類などをまんべんなくとれるようには心掛けています。特に野菜のおかずは、子どもたちがなるべく食べやすいように工夫しています。
――なかでも人気の献立は何ですか?
野菜を使った献立だと、「肉巻きズッキーニ」とか「豚巻きレタスの旨ぽん蒸し」は人気です。やっぱりみんな、お肉が好きなんですよね。野菜を巻けば一緒に食べてくれるので、肉巻き系はよく作ります。
あとは、少ない油で揚げ焼きにする「揚げない唐揚げ」。カレー味やおかか味など、いろんな味付けで作っています。
チヂミもそうですね。お豆腐を入れたり、むき海老やチーズ、にらなどを入れて具だくさんにしたりと、いろんなアレンジをしています。
――どれもおいしそうです!お子さんたちはお肉好きとのことですが、逆に苦手な食材はありますか?
下の子たちはゴーヤが苦手ですね。でも、長男はなんでも食べるので、ゴーヤも大好きなんですよ。そのせいか、下の子たちはゴーヤを食べることに憧れを抱いているところがあって。
次男は以前、なすが好きじゃなかったんですけど、庭で育てるようになったら食べられるようになったので、今年はゴーヤを育てています。
子どもたちも「今日で〇〇cmになった」なんて言いながら楽しみにしているので、食べられるようになるといいなと思います。
調理する上でのこだわりは手間を省くこと
――絵美さんは小さいころからお料理が好きで、お母さまのお手伝いもよくされていたとか。絵美さんのお子さんたちもお手伝いしてくれますか?
そうですね。洗い物をしてくれたり、大根おろしを作ってくれたり、餃子を包んでくれたりとか、そういう簡単なお手伝いですけど。
長女と次女が手伝ってくれていると次男が「僕も」って言い出して、大変なことになっちゃうときもあります(笑)。
味噌作りを手伝ってもらったら次女がハマって、お友達と近くにある味噌作り教室に通うようになりました。
――自家製味噌っておいしいですもんね。ちなみに絵美さんご自身が料理教室をやりたいという思いはありますか?
少人数制とかで楽しくワイワイできたらいいなというのはちょっと思っていますね。
料理家の山本リコピンさんがご近所に住んでいらっしゃるので、「いつか一緒にやりましょう」と話しています。
――それは楽しみです。絵美さんが毎日お料理をする上で、心掛けていることやこだわっている調理ポイントはありますか?
品数をたくさん作らないといけないので、なるべく手間を省くようにしています。
ポリ袋を使って包丁もまな板も使わないようにしたり、電子レンジをフル活用して火を使わないようにしたり。
揚げ物は少ない油でカリッと焼いたり、トースターを駆使したりして“揚げない”ようにします。
あと、なるべく旬の野菜を使うようにしています。
――夏休みなど学校が長期お休みのとき、お子さんのお昼ごはん作りに頭を悩ませているご家庭も多いと思うのですが、松山家ではどうされていますか?
うちでは、トルティーヤとか食パンを用意したら、トマトやきゅうりなどの具材も用意して、おのおのが好きなものを挟んで食べるっていうのをよくやります。
同じように、おにぎりでもやりますね。ごはんと具材と海苔を用意して、好きなようににぎってもらう。あと、フライパンでどーんとビビンバを作るとか、そんな感じが多いですね。
長女以外は給食なので、お弁当を作って置いておいてあげることもあります。みんなお弁当に憧れちゃっているので、作り置きおかずを詰めただけでも喜んでくれますね(笑)。
――いつものおかずでもお弁当箱に入れるだけで特別感がでますよね。あとたとえば、あらかじめ作っておくと時短になるなど、お昼ごはん作りが楽になるコツがあれば教えてください。
肉味噌とかを作り置きしておいて、冷凍うどんにかけるのがおすすめです。
タコミートみたいなものなら、パンに塗ってもおいしいし、ごはんにのせてもパスタに絡めてもいいですよね。
残り野菜を入れたクッパもよく作ります。ごはんを入れてもうどんを入れてもいいので、子どもたちはそれぞれ好きなように食べています。
特にうどんが大好きな子がいるんですよ。なので、冷凍うどんは常備しています。パスタみたいにツナとトマトを絡めただけでもおいしいです。
――冷凍うどんを常備しているとのことですが、ほかに冷蔵庫に欠かさず入っているものは?
卵とキムチですかね。
卵はスープに入れたり、親子丼にしたり、卵かけごはんにしたりとすごく使います。3パックぐらい買ってもあっという間になくなります。
キムチは私が作っているんですけど、食卓にないとダメな人がいるので必ず用意します。
――旦那さんですね?
そうです。食卓に出てないと「キムチは?キムチは?」って言われちゃうので(笑)。
キムチを作るのは冬が多いんですけど、結構すぐなくなっちゃうんですよね。なので、夏とかも頑張って作っています。
Instagramはあくまでも記録
――絵美さんがInstagramにレシピで発信するようになったのは2017年10月から。もともと投稿するようになったきっかけは何でしょうか?
子どもが多くてなかなか外食ができないので、当時、家に人を招いてホームパーティーをやっていたんです。
そのとき、来ていたスイーツコーディネーターのお友達が「こういうのがあるよ。発信してみたら?」と勧めてくれて、始めるようになりました。
唎酒師の資格を持っているので、最初は日本酒の記録みたいな感じでやっていたんです。だから“@emi.sake”っていうアカウントなんですけど(笑)。
フォロワーさんも日本酒好きのおじさまが多かったんですけど、途中からレシピをアップするようになったら女性のフォロワーさんがどんどん増えてくれました。
――Instagramで発信したレシピの中で、よく保存されているものはどれですか?
2021年8月27日に投稿した「えのき豚団子とレタスの旨塩スープ」が一番人気です。
その次が、2021年11月17日に投稿した「チュモッパ」です。韓国の定番の丸い一口サイズのおにぎりで、この日のメインの具材はとびこでした。
――絵美さんのレシピはどれも簡単で、食材の薬膳効果も書いてくださるのがうれしいです。
簡単じゃないと続かないんですよね。面倒くさいって思うともう次のごはんを作りたくなくなっちゃうので、簡単にっていうのは前々から心掛けています。
それぞれの食材に効能があることを知ると罪悪感なく食べられるかなと思って、薬膳効果は書き添えるようにしています。
――そんなレシピが評判となって、現在Instagramのフォロワーは19万人以上!最近はどんなモチベーションで投稿していますか?
やらなくっちゃと思うとつらくなってしまうので、できる範囲で、日々の食事の記録をつけている感じです。
いつか子どもたちが巣立ったときに、このInstagramを見て作ってくれたらいいなって。お弁当の写真とかを見て「懐かしい」と思ってもらえたらうれしいですね。
――お子さんたちもきっと喜ぶと思います。さらにInstagramがきっかけで『やみつき節約めし』と『松山絵美のカンタンなことしかやらないレシピ』という2冊のレシピ本も出版されましたね。
1冊目の『やみつき節約めし』のお話をいただいたときは、まだフォロワーさんが10万人に達していないころだったので、私でいいのかな?と戸惑いました。
出版のことは右も左も分からない状態だったので、やりながら学んでいった感じです。
テーマが「節約」ということで、1食一人分のおかずが100円台に収まるレシピをご紹介しています。
私が撮っている写真もあるので、料理を作っては撮って……というのをずっと繰り返していくのが大変でしたね。子どもたちにはいっぱい食べて協力してもらいました(笑)。
2冊目の『カンタンなことしかやらないレシピ』では、ちょっと勝手が分かってきたのと、いつもお世話になっているNadiaさんが間に入ってくださったので、少し気持ちに余裕がありました。写真は全て、カメラマンさんに撮ってもらっています。
こちらは、めんどうなことを「やらない」がテーマで、火を使わない、揚げない、包丁を使わないなど、手間を省いた料理を100品紹介しています。
――レシピはもちろん、コラムも読みごたえがあって面白いです。『カンタンなことしかやらないレシピ』では、「松山さんの1dayルーティーン」が掲載されていますが、朝6時から深夜1時まで大忙しですね。
このころはまだ長男と長女が中学校に入っていないので、今の方がもっと大変になっています。みんな電車で通学しているので、家を出る時間が早いんですよね。
まず、中学生組を起こして、食べさせて、お弁当を持たせて送り出した後に、小学生組を起こして食べさせてって、ここまででもうすごい疲れちゃう(笑)。
その分、休みの日は結構ゆっくり寝かせてもらっています。と言いつつ、みんなが起きてくると一緒に起きちゃうんですけどね。
――大変ですね……。もしも今、自由な時間があったら何をしたいですか?
Netflix でずっとドラマを見ていたいです(笑)。
夜は洗濯物をたたんだり、アイロンをかけたりしながらドラマを見ているのですが、その時間が好きです。
――最後に、ずばり絵美さんにとって「おうちごはん」とは?
家族の健康の源なので責任重大なんですけど、手間はうまく省いて、愛情は込めて楽しく続けられればいいなと思っています。
みんなが笑顔で食べてくれることが一番のご褒美です。
ありがとうございました!
家事に子育てにと毎日大忙しの絵美さん。そんな日々の生活から生まれたレシピは、どれも簡単なのにおいしくて、真似したくなるものばかりです。
手間は省いても愛情をたっぷり込めれば、家族みんなが笑顔になること請け合い。
Instagramには、旬の食材を使ったレシピが日々アップされているので、ぜひチェックしてみてくださいね!
(text by コノ)