出典 : @ykazuki

【おうちごはんインタビュー vol.19】@ykazuki さん

日々のおうちごはんをインスタグラムに投稿し、ご自身の世界観を発信している方にお話を聞くおうちごはんインタビュー。今回は、一汁一菜をはじめとした家庭的なおうちごはんが魅力のカズさんこと山下一樹(@ykazuki)さんにお話をお伺いしました。

サッと作れて栄養バランスもばっちり。今すぐまねしたい!カズさんの一汁一菜

プロフィール

山下一樹

デザイナー・家庭料理家

大阪在住、デザイナーの仕事をしながら会社を経営しています。
いろいろなことにチャレンジする生き方を選び、料理家の道へ。
料理はお店ではなく家庭ならではの、きちんと作る栄養のある家庭料理を目指しています。

インスタグラムアカウント:@ykazuki

ykazu(カズ) (@ykazuki) さんのインスタグラム

―― 毎回見ているだけでホッと和む、魅力的な一汁一菜をインスタグラムに投稿されていますが、普段のおうちごはんはどのような雰囲気で過ごされているのでしょうか?

インスタグラムに投稿しているものは実はほとんどがお昼ごはん。オフィスにキッチンがあって、お昼の休憩時間に作っています。なので、メニューはさっと作れるようなものが多いです。
同僚もランチにお弁当やお惣菜を持ってきますので、一汁一菜のついでに同僚にもおみそ汁を作ってごはんを炊いて、一緒にランチすることもありますよ。

―― オフィスで出来立てのおみそ汁や、炊きたてのごはんが食べられるなんて最高ですね! 今や料理をしない日はないかと思うのですが、いつ頃から料理をするようになりましたか?

あまり覚えていませんが……食べられる程度の料理を始めたのは学生の頃からだったと思います。母が作ってくれる食事は今でいう一汁一菜を中心としたスタイルだったので、食欲旺盛の当時は、主に自分が食べたいおかずを作っていました。
就職してからは一人暮らしになり、晩酌時の肴を作ったり、休日に料理をしたりする時間が多かったように思います。本格的に料理と向き合うようになったのは3年ほど前で、身に着けるまでは見よう見まねで作っていました。

―― カズさんが一汁一菜を作るようになったのは、お母さまの影響でしょうか?

そうですね。私の育った家の食卓といえば、ワンプレートか、メインのほかにあってももう一品くらいでした。品数が少なかったというのは、やはり母が一つ一つの料理をきちんと作ってくれていたからなんですよね。当時はそこまでは分かりませんでしたが、今思えばそうだったのかなと。
私も一品をきちんと作るというのを受け継ぐ気持ちで、一汁一菜を実践しています。

―― なかでも、お気に入りの一汁一菜は?

親子丼が大好きでして、これまでに100杯以上は作っていると思います。それこそ栄養満点のおかずとごはんが一緒になっていますから、あとはみそ汁と漬物で十分。とても簡単です。

次によく作るのは豚汁です。こちらは汁ものがおかずと一緒になっていますので、これもおかずを何にしようと悩むことがないです。根菜も多く摂れますし、入れる野菜は自由。たくさん作ることで素材からうまみが出るので出汁も要りません。

次によく作るのは豚汁です。こちらは汁ものがおかずと一緒になっていますので、これもおかずを何にしようと悩むことがないです。根菜も多く摂れますし、入れる野菜は自由。たくさん作ることで素材からうまみが出るので出汁も要りません。

肉じゃがもフライパンで素材を炒め、酒・砂糖・醤油で蒸し煮にするだけという新しい作り方に変えてから、作るのが楽になりました。これらは家庭料理の代表格で、お気に入りです。

ykazu(カズ)さん(@ykazuki)がシェアした投稿 -

▲カズさん流「肉じゃが」の作り方

―― どれもおいしそうです! 献立は「一汁一菜であること」のほか、「旬をできるだけ意識すること」、「栄養の偏りがあまりないこと」、「20分くらいで作れること」という4つのポイントを心掛けているそうですね。

そうです。毎日献立を考えることが負担になっている人も多いと聞きます。なのでこの4つのポイントを押さえた献立を発信することで、みなさんの手助けになれればと思っています。
栄養も細かいことを考えるのではなく、今日が肉だったら明日は魚にしたり、野菜を使いたかったらみそ汁に入れたり、カルシウムが足りないと思ったらにぼしの出汁がらも一緒にいただく。それくらい肩の力を抜いて料理を楽しむようにしています。

―― そういったお料理の数々をインスタグラムに投稿するようになったのはいつからでしょうか?

インスタグラムを始めたのは5年くらい前なのですが、最初は主にお店で食べた料理をアップしていて、その中に自分で作ったものも少しあるという程度でした。
一汁一菜を投稿し始めたのは2年ほど前です。フォロワーさんが増えたタイミングでTwitterも始めて、そちらではどちらかというとレシピ以外の料理の気付きを書いたり、別の構図の写真を載せたりしています。

―― インスタグラムやTwitterを始めてみて何か変化はありましたか?

フォロワーさんに見ていただいているという意識があるので、おかげさまできちんと作るということを継続できています。本当のことを言うとレシピを書くのは嫌だったのですが、よく質問をいただくので載せるようにしました。その結果、自分が自然にやっていたことを言語化することで「なぜその手順でやったのか」など改めて考えたり気付いたりすることができたので、やって良かったなと思っています。あとはこうしてメディアの方にお声がけいただけているのは大きな変化だと思います(笑)。

―― ご協力いただき、恐縮です(笑)。ちなみに普段、インスタグラムにはどういったモチベーションで投稿していますか?

「今日もおいしくできたよ、見て!」というだけなのですが、少しでも旬やきちんと作ったおいしさが伝わればと思っています。ただ、毎日作らないといけない、あるいは毎日投稿しないといけないというような強制感はないので、モチベーションはあまり考えたことがないですね。料理をしたくない日もやっぱりありますから。

―― なるほど。逆にカズさんが注目しているハッシュタグやインスタグラムごはんはありますか?

最近はお弁当に注目しています。上等な「曲げわっぱ」をいただいたので、自分でもお弁当を作るならどうするか考えながら、ハッシュタグをチェックしています。みなさん、朝からきれいにきちんと作られているので勉強になりますね。それらを参考にしながら、品数を控えつつも栄養があって、肩の力を抜いて作れるようなものを考えたいと思っています。

―― インスタグラムは写真も重要ですが、おうちごはんをおいしそうに撮影するためのコツはありますか?

ちょうど食卓の前と横にある大きな窓から光が入りますので、お昼に限ってはそのまま食卓で撮影しています。構図はご覧のとおりバリエーションが少ないのですが、ありがちな真上からの俯瞰撮影はなるべくせず、食卓に運ばれたばかりの出来立ての瞬間を切り取るようにしています。カメラはミラーレスの単焦点レンズですが、あまりぼかすことなく、インスタグラムのアプリだけを使っています。

―― たしかに出来立ての温かさまで伝わってくるようです! 盛り付けについてはいかがでしょう? こだわっている点や参考にされているものがあれば教えてください。

盛り付けに関しては、料理家としてとても不勉強だと思います(笑)。というより、盛り付けようという意識があまりなくて、鍋を返して盛っただけのことが多いです。
撮影の都合上、具材が映らない場合は触りますが、触ると余計に汚くなってしまうので、大抵そのままにしています。ごはんを丁寧によそったり、おみそ汁を玉杓子でよそったり、それだけです。インスタ映えのものや、雑誌や外食で見るようなものは家庭ではしなくていいと思っているので、盛り付け以外での「おいしそう」を見つけるようにしています。

―― 器もとってもすてきです。お気に入りの器や調理器具など教えてください。

器のことは話しだすとキリがないのですが、うちにある和食器はマシンメイドのものより、なるべく人の手で作られた民芸品が中心です。旅行に出掛けると、まずは窯や器のお店を探します。
器もそうですが、私の一汁一菜の礎となっているのが「お膳」です。実は一番よく聞かれるのは「お膳はどちらのものをお使いですか?」という質問なんですよ。投稿している木工のお膳は、ふるいともかずさんという作家さんの作品です。日常で本当に使いやすく、一生ものを見つけたと思っています。
調理器具も自分にとって使いやすいものを見つければよいと思っていて、特にみそ汁を作るときに使っているフィスラー製のソースパンがお気に入りです。あれは鍋の中だけではなく外側もピカピカにしようという気にしてくれます。

木工作家・ふるいともかずさんのホームページ

―― そのお膳とソースパン、欲しくなってきました(笑)。では、今後挑戦してみたいおうちごはんはありますか? 一汁一菜でもいいですし、それ以外でも!

先ほどのお弁当もそうですが、しばらくは家庭料理の追究になりそうです。おうちごはんであれば、和食だけでなく洋食も日本の家庭料理と言っていいと思うんですよね。素材を活かす、きちんと作るという和食にならえるものがたくさんあるはずですし。カレーライスも日本の家庭料理の姿になりつつありますしね。カレーって実はみそ汁とも合うんですよ。なので和食に限らず、家庭で作れるからこそのおいしさを、今後も考えていきたいと思います。

―― 最後に、カズさんにとって、おうちごはんとは?

ずばり「家庭料理」そのものです。イモの煮転がし、おあげさんの炊いたん、牛すじ煮込み……こういった日本の家庭料理というのはレシピを考えた人の名前も分からなければ、料理そのものに名前がない場合が多いです。家庭料理はいろいろな人の手と知恵で受け継がれ、今の食卓に並んでいます。流行りもののレシピや、お店の味の再現に挑戦するのもいいのですが、素材そのものを活かしたおうちごはんが実は長く親しまれ、食文化として受け継がれていきます。それぞれの家庭ならではのおうちごはんが広がればいいですね。でも肩の力を抜いて、料理を楽しむことが一番。そうしたら絶対においしくなると思います。

ありがとうございました!

たしかに毎日、たくさんのおかずを作るのは大変。カズさんのお話を聞いていたら「一汁一菜を丁寧に作ればそれでいいんだ」と思えて、心が軽くなりました。
ごはん作りに悩んでいる方は、カズさんの一汁一菜を参考にしてみてはいかがでしょうか。Twitterも読み応えがあって楽しいので、ぜひ合わせてチェックしてみてくださいね!

ykazu(カズ) (@ykazuki) さんのインスタグラム
ykazu(カズ) (@ykazukitchen)さんのTwitter

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