
日本の伝統調味料、醤油
醤油の種類の違い
JAS規格によると醤油は5つに分類されます。濃口醤油・淡口醤油・再仕込醤油・溜醤油・白醤油です。中でも濃口醤油は一般的な醤油とされ、全体の流通量の約80%がこのタイプです。
半年から長いもので2~3年もの時間をかけて造られる醤油は、種類によって濃口・淡口・醤油・溜・白・再仕込の5つ、製法によって本醸造・混合醸造・混合の3種類に分類され、九州や北陸地方などで一般的な甘口は、濃口醤油に旨みと甘みを加えたものです。
醤油は大豆、小麦、塩などの原料、種類や製法の違いでそれぞれに特徴があり、日本農林規格(JAS法)では「醤油は大豆を原料にすること」と定められています。
醤油は種類ごとに色も塩分も旨みも異なり、お吸い物や煮物など素材本来の味を活かしたい時は白や淡口、刺身や照り焼きなど醤油の味わいをプラスしたい時は濃口や溜など、用途や作る料理によって相性のよい醤油が違ってきます。
発酵熟成が進むにつれて色が濃くなるとともに風味も豊かになり、独特の味わいを楽しむことができる発酵調味料。毎日の食卓に欠かせないからこそ、おいしい醤油を選びたいですね。
日本全国のこだわり醤油、集めてみました!
滋賀:丸中醤油「熟成醤油・醸造醤油」
現存している蔵は、手を加えていないため天井、壁、床、樽、桶といった至るところに微生物が棲みついています。この微生物の正体が、私どもが宝としている醸造菌です。(中略)丸中醤油の蔵は、今も昔ながらの製法を守っています。丸中醤油醸造蔵は国登録有形文化財に登録されております。
創業から二百有余年、歴史ある醸造蔵とともに現代では稀な自然の営みに任せた古式製法による醤油造りを今も守り続けている「丸中醤油」。滋賀県産の大豆、愛知県産の小麦など契約栽培による地産地消の厳選素材を使用し、職人によってゆっくり時間をかけて丹念に造られています。
丸中醸造醤油(写真右)は、じっくり歳月を重ねたそれぞれ特徴のある桶から、丸中独自製法の一つである完熟をブレンドして一つの味に仕上げてあり、香りと旨みが特長。刺身や寿司、煮物、汁物など普段使いしやすく、根強い一番人気商品です。
杉樽三年熟成醤油(写真左)は、丸中醤油の宝である百年以上経た杉樽の中で三年もの歳月を重ね、ゆっくりじっくりと納得のいくまで熟成させた本数限定の醤油です。
島根:井上醤油店「古式じょうゆ」
江戸時代から続く古式醸造蔵には、蔵付き酵母を始めとする有用菌がびっしりと住み着いています。
この有用菌の『力』と自然が与える『風土』こそが丸大豆の旨味を引きだし、井上醤油独特の豊潤な香りと味わいを醸しだす秘密です。
1867年(慶応3年)創業、島根県奥出雲でじっくりと時にまかせて自然に委ねる天然醸造を続けている「井上醤油店」。島根を中心とした安心安全な国産丸大豆と小麦を使用し、合成添加物不使用にこだわって高品質な醤油を製造しています。
古式じょうゆは、まろやかでさっぱりとした旨みが際立つ、定番の濃口醤油。煮物や煮付けはもちろんのこと、かけ醤油や卵かけご飯などシンプルな料理のおいしさも引き立てます。
キッコーマン 亀甲萬「御用蔵醤油」
「キッコーマン(亀甲萬)」の千葉・野田工場敷地内にある御用蔵は、1939年(昭和14年)に建設された宮内省(現・宮内庁)にお納めする醤油の専用醸造所。御用蔵醤油は国産の良質な原料を使用し、この蔵にある杉の桶でじっくり発酵・熟成させた特別醸造の逸品です。
また御用蔵醤油と同じく厳選した国産原材料を使用し、食塩水の代わりに御用蔵で発酵・熟成させた「生」の醤油を贅沢に使って仕込んだ、二段熟成のしぼりたて生醤油 御用蔵生は、一年に一度の限定醸造醤油です。
香川:ヤマロク醤油「鶴醤・菊醤」
香川県小豆島の「ヤマロク醤油」は、創業150年を超える天然醸造仕込み醤油の醸造元。
鶴醤(つるびしお:写真左)は、北陸産の大豆や北海道産の小麦を使用し、約二年の熟成を経た醤油をもう一度桶に戻して、再び塩以外の原料を加えてさらに二年ほど仕込み、倍の原料と歳月をかけて造られた深いコクとまろやかさを極限までの追求した醤油。ステーキやバニラアイスとも相性抜群です。
菊醤(きくびしお:写真右)は、旨み成分が強い大粒の丹波黒豆や讃岐産の小麦など原料にこだわった、あっさりとしたキレのある旨みと甘み、コクを引き出した正統派の木桶仕込み醤油。卵かけごはんなどかけ醤油としてはもちろん、野菜の煮物など色をきれいに仕上げたい料理にも最適です。
子や孫の世代に本物の味を
ヤマロク醤油のもろみ蔵は100年以上前(明治初期)に建てられた蔵で、国の登録有形文化財(第37-0182~0184)に指定されています。木造平屋で床は土間、壁は土壁。見た感じボロボロですが、そこがごっついポイントです。実は樽以上に、梁や土壁、土間の中のボロっちーところには百種類という酵母菌や乳酸菌たちが暮らしているのです。(中略)なので蔵を大きくしたくても建て替えがききません。蔵を新築しても菌たちがいなければお醤油をつくることはできないのです。
江戸時代まで、醤油や味噌などの発酵調味料は全て木桶で醸造されていましたが、時代と共にどんどん少なくなり、現在木桶を使った天然醸造による醤油や味噌の生産量は全体の1%以下となっているとのこと。
本物の木桶仕込みの醤油を残したいという思いで、2011年に「木桶職人復活プロジェクト」を立ち上げたヤマロク醤油五代目の山本さんは、自ら桶修行にでて木桶の構造や特徴を学び、自分たちで作った木桶で醤油を造られています。
無料のもろみ蔵見学体験も大人気!
知られざる醤油の魅力や奥深さを案内してくれる天然もろみ蔵見学体験(無料・予約不要)では、併設されているやまろく茶屋にてヤマロクオリジナルの醤油スイーツを楽しむことができます。小豆島を訪れた際にはぜひ!
愛知:南蔵商店「つれそい」
1872年(明治5年)、愛知県知多郡で味噌とたまりの醸造頑として創業した「南蔵商店 青木弥右エ門」。
つれそいは、愛知県産丸大豆と天日塩を使用して昔ながらの手法で仕込み、三年間じっくり熟成させた、とても贅沢なたまり醤油。刺身やステーキ、そばつゆなどいろいろな料理と相性がよく、小麦を一切使用していないグルテンフリーの醤油として、日本だけでなく海外でも注目されています。
岐阜:山川醸造「卵かけトリュフ醤油・焼鮎醤油」
岐阜の清流長良川の伏流水を使い、今も昔と変わらず杉の木桶を用いた天然醸造で伝統的なたまり醤油と豆味噌を製造している、昭和18年創業の「山川醸造」。
卵かけトリュフの醤油は、細かく刻んだフランス産のトリュフ入りオイルに、杉桶仕込みのたまり醤油、かつおだし、本みりんを合わせた、ちょっと贅沢なだし醤油。トリュフの豊かな香りが口いっぱいに広がって、たまごかけごはんやローストビーフなどいつもの料理をリッチな味わいにしてくれます。
卵かけトリュフの醤油と同じく、岐阜県産丸大豆と長良川の伏流水を使用した杉桶仕込みのたまり醤油に、長良川中流域で漁獲した天然鮎を素焼きして乾燥させ、一尾丸ごと漬け込んだ、「山川醸造」の焼鮎醤油。
旨みの強いたまり醤油に、鰹や昆布をベースに焼鮎の風味をしっかりと効かせたこだわりのだし入り醤油は、豆腐やお浸しにそのままかけたり、水でのばして煮物やめんつゆにも。醤油の中の焼鮎はお茶漬けや雑炊として楽しめます。
熊本: フンドーダイ五葉「透明醤油・特醸甘口醤油 平成」
1869年(明治2年)から150年に渡って熊本で醤油造りに取り組み、長年地元で愛されている「フンドーダイ五葉」。
透明醤油(写真左)は、本醸造濃口醤油を原料に特殊技術を駆使して誕生した特別でちょっと不思議な醤油。素材の色を最大限に活かし、かつ醤油本来の香りとコクはそのまま残した新世代の調味料は、料理やスイーツなど幅広く活用でき、話題になっています。
特醸甘口醤油 平成(写真右)は、「新しい時代の旗印となるような特別な醤油をつくりたい」という思いから生まれた、無添加で唯一無二の九州醤油。九州産大豆・小麦を使った本醸造醤油に、古くから熊本に伝わる赤酒と香川産の和三盆を加えた、コクがありながらスッキリとした味わいが人気です。
兵庫:末廣醤油「薫紫」
明治12年の創業以来135年、兵庫県たつの市で素材と製法にこだわった伝統的な醤油を造り続けている「末廣醤油」。
薫紫(かおるむらさき)は、国産大豆と小麦100%使用の天然醸造醤油を燻液などの添加物を使用しないで直接じっくり時間をかけてスモークした醤油。
醤油本来の旨みを十分残しながら燻製の香りをしっかり沁み込ませており、オリーブオイルと相性抜群。一滴垂らすだけで芳醇な香りが広がり、料理を一段とおいしくしてくれます。
群馬:正田醤油「スパイシーしょうゆ」
1873年(明治6年)創業以来、伝統の技を大切にする頑固なまでの職人気質を大切にしながら、「おいしいがうれしい。」を合言葉に邁進している「正田醤油」。
スパイシーしょうゆは、正田醤油の本醸造醤油にタバスコ®ブランドペパーソースを程よくブレンドした、今までのないピリッとした風味が人気の逸品。
肉料理やピザ、サラダのドレッシングなど様々な用途に使えて、通常の醤油よりも塩分控えめ(食塩分12%)なので、減塩されている方にもおすすめです。