冬の京野菜を代表する高級食材!一度食べると虜になる「えびいも」

おいしいモノが大好きなおうちごはん編集部とその仲間たちが、日本全国のおいしいモノを発見する企画『ニッポンのおいしい、いただきます!』。いよいよ第2弾がスタート。人気の伝統野菜「京野菜」の魅力にせまります。3回にわたる連載企画の初回は、冬の京野菜を代表する「えびいも」についてご紹介します。

「京野菜」の魅力に迫る

食欲&物欲旺盛なおうちごはん編集部とその仲間たちが、日本全国にある「おいしいモノ」を発見していく連載企画『ニッポンのおいしい、いただきます!』。
まだまだ知られていない日本のおいしいモノを紹介していきます。

ニッポンのおいしい、いただきます!

第1弾の加賀野菜に続き、今回から第2弾がスタート。
3回にわたる連載企画として、京都の長い歴史と伝統によってはぐくまれた「京野菜」の魅力に迫ります。

京野菜とは?

京野菜とは、一般的に「京都らしさをイメージする、京都で生産された野菜」を意味します。よく似た言葉に「京の伝統野菜」がありますが、こちらは「京都で古くから栽培されて今に伝わる野菜」を意味しています。

都としての1000年以上の歴史を持つ京都には、人々の往来につれ、宮廷や寺院への献上品として全国各地から優れた品質を持つ野菜が集まってきました。これらは、茶道の懐石料理、寺院の精進料理をはじめ様々な京文化のもとに磨きがかけられ、庶民の日常の食事、商家の使用人に供する効率的な食材へと改良されてきました。そして、野菜生産に適している気候や風土に適した特異な形や優れた品質を持つ野菜へとさらに改良を重ね、京野菜として現在まで伝えられてきたんだそうです。

京野菜は、農家の方々が手間暇をかけ、丁寧に丹精を込めて作っています。大量生産された野菜のような使い勝手はないものの、通常の野菜よりも栄養価が高く、一口食べればその味の濃さを実感できるほど。また、色や形状が個性的である点も多くの人々を惹きつける魅力の一つです。

最近は関東のスーパーでも京野菜を見かける機会も増えてきましたよね。特にお正月の伝統的なおせち料理などには京野菜が使われることも多く、年末年始にはたくさんの京野菜が流通します。

京のブランド産品とは?

テレビや新聞、雑誌などのメディアでも数多く取り上げられている「京野菜」。せっかく注目を集めている京野菜類をもっと広く知ってもらうとともに、実際に家庭や料理店で使ってもらいたいという想いから、京野菜のブランド化が始まりました。

京野菜や他の農林水産物の中で、優れた品質が保証され、安心・安全と環境に配慮した生産方法に取り組んでいるものを「京のブランド産品」として31品目認定し、ブランドマーク(京マーク)を貼って流通させています。

京のブランド産品(京マーク)って? | 京野菜 kyoyasai.kyoto

「おいしさと信頼の目印」として、チェックしてみてくださいね。

Vol.1 『えびいも』

そんな伝統的な京野菜の中から、第1回目の今回ご紹介するのは、『えびいも』です。

産地:京都市南部、京田辺市、亀岡市、京丹後市、舞鶴市、福知山市 等
出荷時期:10月~2月

大きな形とえびのような縞模様が特徴の高級食材

冬の京野菜を代表する「えびいも」。最近は、年末年始の時期になると関東のスーパーでもよく見かけますよね。えびいもは、サトイモの一種「唐の芋」を用い、特殊な土入れ作業を行うことで湾曲させた大きなお芋に育てたものです。蓑毛が横縞模様に入り、ちょうど腰をかがめたエビの形に似ていることから「えびいも」といわれてきたんだそう。

えびいもの来歴は、安永年間(西暦1700年代後半)にまでさかのぼります。御所の御用を承り、花や野菜の栽培をしていた京都市祇園平野家「いもぼう」の祖先平野権太夫が、青蓮院宮が九州長崎から持ち帰った芋の種を託されて栽培してできたと言われています。

品質の良いえびいもを育てるには、高度な技術と手間を要し、数ある野菜の中でも特にきめ細かい栽培が必要となります。

一度食べると虜になる食感と旨味

えびいもは、緻密な肉質で、ねっとりとした独特の粘り気と奥深い豊かな旨味があります。煮込んでも形崩れせず、中までじっくり味がしみ込むので、煮炊き料理にとても適しています。棒鱈とともに煮つけた炊き合わせが有名です。
収穫は10月下旬から始まり、年末には正月のおせち料理の食材として出荷のピークを迎えます。一般家庭でも人気の高い京野菜です。

孫芋の「こえびちゃん」

重さ30~120gサイズの孫芋は、袋詰めされて「こえびちゃん」という名前で販売されています。えびいもに比べると小ぶりなサイズ感ですが、ねっとりとした食感と旨味はしっかりと持ち合わせており、その美味しさと使いやすさから一般家庭でも広く使われています。

えびいもを使ったレシピをご紹介

ねっとりもっちりとした食感を活かすには、どんな料理が合うのでしょうか?

第1弾に引き続きご協力をいただいたのは、ごはん大好き食いしん坊の食インフルエンサー@cao_lifeさん。『えびいも』を使ったレシピを2品考案いただきました。

早速@cao_lifeさん考案のえびいも料理のレシピについてご紹介したいと思います。

cao_lifeさんプロフィール

岡山県在住。「おいしいモノ」「たのしいヒト」に出会うことがとにかく大好き。
おいしいモノの情報収集には余念がなく、気になったらまずは試してみるのがモットー。一目会えば、誰もが彼女の魅力にハマり、またすぐ会いたくなる、そんなオーラをまとった人気のインスタグラマー。

かおし (@cao_life) さんのInstagram

【1品目】えびいものおつまみポテサラ

材料(4~5人分)

・えびいも……350g
・玉ねぎ……1/2個
・クリームチーズ……70g
・ツナ……1缶
・しば漬け……50g
・万能ねぎ……2本
・マヨネーズ……大さじ1.5~2
・ごま油……小さじ1
・塩……小さじ1/2
・黒胡椒……多め

作り方

1. えびいもの皮をむき、乱切りにして水に20分ほどさらす。玉ねぎを薄切りにし、水の中で揉み、水気をぎゅっと搾る。ツナ缶の油を切り、しば漬けはみじん切りに、万能ねぎは小口切りにしておく。

2. えびいもを耐熱のボウルに入れ、ラップをして600Wで5分加熱する。つまようじをさしてみて、すっと通ればOK。レンジから出してマッシャーかフォークの背でつぶす。

▲マッシャーがあると便利ですが、なければフォークの背で潰します。フォークを使う時は、潰しやすいように具材を大きすぎないサイズにカットしておくのがポイントです

3. まだ2が熱いうちに玉ねぎを加えてよく混ぜる(熱で辛味が和らぐ)。クリームチーズ、ツナ、しば漬け、万能ねぎ、マヨネーズ、塩、ごま油、黒胡椒を加え、全体をしっかりと混ぜる。

4. うつわに盛り、黒胡椒を挽く。できあがり。

@cao_lifeさんのおすすめポイント

ねっちりとしていて上品な味わいのえびいもをポテトサラダにしてみました。クリームチーズとツナとマヨネーズで味わいやコクを、しば漬けと玉ねぎで食感をプラス。主張強めの食材を結構加えているのに、味見してみるとえびいもがまだ勝っていて、すごく優しい味わいに。そのままでも美味しかったのですが、ごま油を隠し味程度に加えてみると味にぐっと深みが出て、お酒にも合いそうな一品になりました。残ったらコロッケにするのもオススメですよ。

【2品目】えびいものジャーマンポテト

材料(3~4人分)

・えびいも……400g
・玉ねぎ……1/2個
・ベーコン……2枚
・にんにく……1かけ
・オリーブオイル……大さじ1.5
・バター……15g
・コンソメ……小さじ1
・黒胡椒……多め
・パセリ……適量

作り方

1. えびいもは皮をむき、一口大に切って20分ほど水にさらした後、耐熱皿にのせ、ラップをして600Wで5分加熱する。

2. 玉ねぎとベーコンを1cm幅に切る。にんにくをスライスする。フライパンにオリーブオイルとにんにく、ベーコンを入れ、弱火にかけてじっくりと加熱する。どちらもカリカリになったらお皿にあげる。

▲にんにくとベーコンをカリカリに。カリカリになるタイミングが異なるので、フライパンの中では混ぜずに加熱します

3. 2のオイルに玉ねぎとえびいもを入れ、弱めの中火にして少し焦げ目がつくくらいまで炒める。カリカリベーコン、バター、コンソメ、黒胡椒を加え、全体を混ぜるように炒め合わせる。

4. 火を止め、細かく刻んだパセリを加えて全体を混ぜる。お皿に盛り、ニンニクチップを散らし、黒胡椒を挽いたらできあがり。

@cao_lifeさんのおすすめポイント

加熱しても煮崩れしないみっちりとした食感が、里芋というよりもジャガイモに近いような気がして、ジャガイモの代わりにジャーマンポテトにしてみたら大正解! しっかりと食べ応えのある一品になりました。バターとコンソメ、ベーコンの塩気があるので、塩は使っていません。作りたてよりも、少し時間をおいて味がなじんだ頃に食べると一段と美味しいです。冷めても美味しいので、お弁当のおかずにもピッタリ!

おうちごはん編集部も食べてみました!

私かねこまは、実はえびいもを実際に食べるのははじめて。
サトイモとは違うの? どんな食感なんだろう? とワクワク!

編集部のよっすぃーと共に、えびいもを調理して試食してみました。

えびいものクリームシチュー

まずは、「こえびちゃん」を使ってみます。

小さめのサトイモと同じくらいのサイズ感。小ぶりですが、ちゃんとえびの形になってます。

こちらのこえびちゃんを使い、クリームシチューを作りました。

火を通しても煮崩れにくいので、シチューに入れて柔らかくなるまで煮込んでも、ご覧の通りに崩れませんでした。白味噌を味付けのベースとしたクリームスープが、えびいものねっとりとした食感と相性ばっちり!

えびいもの磯部揚げ

続いて、メインのえびいもを使います。
こちらは、サトイモやこえびちゃんと比べるとかなり大きい!

手のひらにおさまりきらないサイズ感。皮をむいてもサトイモほどぬるぬるとせず、大きい分、皮もむきやすくて扱いやすいです。

下茹でしたえびいもに、青のりを混ぜた衣をつけて磯部揚げにしてみました。

一度練ってこしたのではないかというくらい滑らかでねっとりとした食感。これが磯の香りの衣とよく合い、いも自体の甘みが引き立ってなんともいえない美味しさに!
いもなのでなかなか食べ応えがあるのですが、それでもお箸が止まりませんでした(笑)。

えびいもの揚げだし

最後は、片栗粉をまぶして揚げたえびいもにだしつゆをかけて揚げ出しに。
さすが京野菜、おだしの優しい味がえびいもの旨味を引き立てるんですね。シンプルな調理だからこそ、えびいもの食感と旨味が存分を味わうことができました。

次回、Vol.2は『花菜』をご紹介!

人気の京野菜は、京都以外の都道府県のお店でのお取り扱いも増えてきています。
冬の京野菜として旨味がたっぷりと詰まったえびいも、見かける機会があったらぜひ手に取ってみてくださいね。

京都のやさい京野菜 kyoyasai.kyoto

さて次回は、京野菜から『花菜』をピックアップ!
京の春を感じさせる逸品です。お楽しみに!

「おうちごはんでぜひ取り上げてほしい!」というおすすめの食材がある方は、その食材の詳細&おすすめポイントとともに、ぜひおうちごはん編集部までご連絡ください!
みなさんからの情報をお待ちしております。

【お問い合わせ先】
E-mail:support@ouchi-gohan.jp
おうちごはん編集部 担当:金子宛

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