大分のうまいモノ発見!海の宝石「ヒオウギ貝」

おいしいモノが大好きなおうちごはん編集部とその仲間たちが、日本全国のおいしいモノを発見する企画『ニッポンのおいしい、いただきます!』。いよいよ第3弾がスタート。今回は、山の幸も海の幸も豊富な大分県の食材に注目!3回にわたる連載企画の初回は、海の宝石といわれるカラフルな「ヒオウギ貝」についてご紹介します。

大分県産食材の魅力に迫ります!

食欲&物欲旺盛なおうちごはん編集部とその仲間たちが、日本全国にある「おいしいモノ」を発見していく連載企画『ニッポンのおいしい、いただきます!』。
まだまだ知られていない日本のおいしいモノを紹介していきます。

過去には、金沢の加賀野菜や京都の京野菜などをご紹介してまいりましたが、今回注目したのは別府や湯布院などの温泉地で有名な大分県。豊かな山海の恵みが盛りだくさんのおいしい食材たちをピックアップし、3回にわたる連載企画にてご紹介します。

Vol.1『ヒオウギ(緋扇)貝』

第1回目の今回ご紹介するのは、海の宝石といわれる『ヒオウギ貝』です。

産地:大分県佐伯市、愛媛県愛南町、三重県志摩や熊本県天草、島根県隠岐など。天然物は少なく、流通しているものは養殖物が中心。

旬時期:食べ頃は水温が下がる晩秋から春にかけての11月下旬~5月頃。約1年という期間をかけて養殖されるため、年中食べることができる。

鮮やかな殻の色合いが目をひくヒオウギ貝は、ホタテ貝と同じイタヤガイ科の貝です。大分をはじめ、島根や愛媛などで養殖されていますが、南日本にしか生息していない貝なんだそう。地域によって、アッパガイ、チョウタロウ、虹色貝、桧扇貝などの呼び名があります。

ヒオウギ貝は、約1年という期間をかけて養殖され、8.5cmを超えるサイズになると出荷されます。大きいものになると、なんと縦横10cmほどもあるんだそう。扇形の殻の表面には規則正しく扇状に条助(じょうろく)が入っています。

その特徴は、なんといっても鮮やかで美しい殻の色。黄色やオレンジ、赤や紫などがありますが、これは着色をしているわけではなく、貝自身が作り出す天然の色。この色合いは遺伝的に受け継がれるため、養殖物は美しい色の個体を選んで人口採卵して養殖しており、特に鮮やかな色のものが多いんだとか。養殖物の美しい殻は、飾り物や器としても利用されています。

食用部分は主に貝柱。美しく栄養豊富な海で育ったヒオウギ貝の貝柱は、肉厚で大きく、甘くて濃厚な味わいです。贈り物としても重宝されていて、お歳暮や正月用の品としても大人気です。

ヒオウギ貝をおいしく味わうレシピを紹介

今回は、大分県佐伯市の屋形島で養殖された産地直送のヒオウギ貝を使います。人口14人の屋形島の海は気候、水温、地形、様々な外的要因によりプランクトンが豊富で、ヒオウギ貝の養殖には非常に適した海なんだそうです。この屋形島で養殖を手掛ける農家漁師の後藤さんから直接届けていただいた新鮮なヒオウギ貝を、おうちごはん編集部にておいしくアレンジしていただきます。

▲屋形島でヒオウギ貝の養殖を手掛ける後藤猛さん

後藤 猛 | 農家漁師直送のポケットマルシェ

殻ごと届いたヒオウギ貝を味わうべく、まずは最初に下処理を。
下処理方法に加え、おうちごはん編集部で食べてみた感想とアレンジレシピをご紹介します!

下処理

1. 殻をきれいに洗い、蝶つがいの短い方を手前にして持つ。

▼横からのぞくと、貝が上下の殻にしっかりとくっついているのが見えますね。これをナイフを使ってはがしていきます。

2. ナイフを上の殻に沿って差し込み、貝柱をはがす。

3. 上の貝殻を外す。

4. 内臓の黒い部分(肝)を外す。

下処理完了!

下処理が完了したので、ここからこのヒオウギ貝たちをおいしく味わうべく、調理していきたいと思います!

※鮮度の高いうちは、貝柱をお刺身として食べると絶品なんだそう! お刺身として食べるときには、「ひも」の部分は外して塩もみをし、さっと湯通しして食べてください。

【1品目】ヒオウギ貝のバター醤油焼き

貝といえば、やっぱりそのままシンプルに焼いて食べたい!
ガスコンロに置いた網の上にヒオウギ貝を殻ごとのせ、醤油とバターと共に直火で焼いてみました。

火にかけてしばらくすると、貝の中の液体がふつふつとしてきました。あっという間に磯の香りが立ちこめます! この香りだけでビールが飲めちゃいそうです(笑)。

なんともおいしそうな音と香り。写真だけではみなさんになかなかこの臨場感が伝わらないのがとても残念……大きな貝柱なので、中まで火が通るようにしっかりと焼いたら完成です! さて、お味の方は?

よっすぃー:「会社の冷蔵庫にビールがあったらな……ってここまで切実に思うことってないよね」

まい姉:(無言で何度も頷きながら)「ぷりっぷりだ! 濃厚でおいしい!」

よっすぃー:「貝柱はホタテよりも少し弾力があるね。噛むほどに磯の風味がする!」

まい姉:「磯の香りに醤油とバターが最高に合いますね。大分の人たちは、ここにかぼすをかけて食べるらしいですよ」

よっすぃー:「最高かっ! ヒモも歯ごたえがあっておいしいね。「天日干し」にしたら、いいお酒のおつまみにもなりそう!」

【2品目】ヒオウギ貝のゴロじゃがグラタン

続いては、濃厚なヒオウギ貝を旬の新じゃがと共にグラタンに!
貝の旨みがしみ出たクリーミーなホワイトソースが、ほくほくのじゃがいもと絡まり、なんとも贅沢な一品になりました。

材料(2~3人分)

・ヒオウギ貝……4個
・新じゃが……中2個
・玉ねぎ……1/4個
・ベーコン……2枚
・バター……20g
・薄力粉……大さじ1
・牛乳……150㏄
・塩こしょう……適量
・ピザ用チーズ……40gくらい
・パセリ(トッピング)……適量 ※ドライでもフレッシュでもOK

作り方

1. ヒオウギ貝は殻から外し、洗って水気をふいたら4等分に切る。じゃがいもはゴロゴロサイズ(約8等分)にカットし、耐熱容器に入れて600Wの電子レンジで3分加熱する。玉ねぎは薄切りに、ベーコンは1cm幅の短冊切りにしておく。

2. フライパンにバター10gを入れて熱し、ヒオウギ貝を炒める。表面に少し焼き色がついたら取り出しておく。

3. フライパンに残りのバターを入れて熱し、玉ねぎと塩ひとつまみ(分量外)を入れて炒める。しんなりしてきたら、ベーコン、じゃがいも、2のヒオウギ貝を入れて炒める。

4. 薄力粉を入れて弱火で炒め、粉っぽさがなくなったら牛乳を加える。混ぜながらとろみがつくまで煮詰め、塩・こしょうで味を調える。

5.耐熱皿に流し入れ、チーズをのせてオーブンまたはトースターでこんがりと焼き色がつくまで焼く。パセリをトッピングして完成。

▲具材にはすべて火が通っているので、表面のチーズにこんがりと焼き色がつけばOK!

まい姉:「魚介とホワイトソースの組み合わせのよさは、鉄板ですね」

よっすぃー:「ヒオウギ貝の貝柱の存在感が大きいから、じゃがいもと合わせても全く問題ないね。ホワイトソースにしみこんだヒオウギ貝の旨みが凝縮されてて、火を入れたグラタンでもそれがちゃんと感じられるおいしさ!」」

まい姉:「海老やイカなどのシーフード系グラタンよりも、さらに濃厚で贅沢な味わい!」

【3品目】ヒオウギ貝のアヒージョ

ラストは、スペインで誕生した人気料理アヒージョに。たっぷりのにんにくとオリーブオイルでヒオウギ貝を煮込むだけで、ワインがすすむ絶品おつまみが完成!

材料(3~4人分)

・ヒオウギ貝……4個
・海老……4個
・マッシュルーム……2個
・にんにく……1片
・鷹の爪……1本
・EXバージンオリーブオイル……50~60g
・塩……少々
・ブラックペッパー……少々
・パセリ……少々
・バゲット……お好みで

作り方

1. ヒオウギ貝は殻から外し、洗って水気をふいたら半分に切る。マッシュルームは4等分に切り、にんにくとパセリはそれぞれみじん切り、鷹の爪は半分に切って種を出しておく。

2. 小鍋ににんにく、鷹の爪、オリーブオイルを入れて弱火にかける。

3. 香りが出てきたらマッシュルームとヒオウギ貝、海老を入れて中火で煮る。

4. 火が通ったら塩とブラックペッパーで味を調え、パセリをちらして完成。

よっすぃー:「にんにくもヒオウギ貝も両方とも旨味成分たっぷりだから、そりゃ相性が悪いわけないよね」

まい姉:「ヒオウギ貝にしみ込んだにんにくオイルがたまらないですね! そのまま食べてもおいしいけど、バゲットにオンして食べるのが間違いないおいしさ!」

よっすぃー:「磯焼で焼いたときよりも身がきゅっと引きしまってるけど、全然固くない。むしろこの歯ごたえがまた楽しいね!」

まい姉:「バゲットを食べる手が止まらない……(笑)」

東日本出身の私たち(茨城出身のよっすぃーと新潟出身のまい姉)は、今回の企画で初めてヒオウギ貝に出合いました。こんな鮮やかな色の貝があるなんて…! とそのビジュアルの美しさに驚いたのはもちろんですが、実際に調理して食べてみたらさらにびっくり。ホタテ貝よりもさらに濃厚で甘みのある味わいに、すぐにヒオウギ貝の虜になってしまいました。

あまり生産量が多くないので一般的な流通は少ないようですが、産地に足を運んだ際にはぜひとも新鮮なヒオウギ貝の旨みを味わっていただきたいと思います。お取り寄せの対応をしているお店もあるので、気になる方はぜひチェックしてみてくださいね!

今回お取り寄せにご協力いただいた【大分県・佐伯市】さいき・あまべ食べる通信とは、大分県佐伯市の生産者さんや加工業者さんと食べる人(消費者)をつなぐ食べ物付き情報誌です。

生産者さんだからこそ知っている素材の楽しみ方やこだわり、故郷の美味しいものを誇りたいという強い想いがたくさん詰まっています。

創刊:2017年4月
価格:送料込みで3500円
発行時期:年4回(季刊発行)

ニッポンの美味しいを身近に感じられる『さいき・あまべ食べる通信』を、ぜひチェックしてみてくださいね。

【大分県・佐伯市】さいき・あまべ食べる通信

POCKETMARCHE

屋形島で緋扇貝

価格:3,436円(税込)

購入はこちら

次回も引き続き、大分のうまいモノをご紹介!
70歳超えた元漁師の母ちゃんたちがつくる「ごまだし」が登場します。ぜひご期待ください!

(text by まい姉)

「おうちごはんでぜひ取り上げてほしい!」というおすすめの食材がある方は、その食材の詳細&おすすめポイントとともに、ぜひおうちごはん編集部までご連絡ください!
みなさんからの情報をお待ちしております。

【お問い合わせ先】
E-mail:support@ouchi-gohan.jp
おうちごはん編集部 担当:金子宛

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