
大分県産食材の魅力に迫ります!
食欲&物欲旺盛なおうちごはん編集部とその仲間たちが、日本全国にある「おいしいモノ」を発見していく連載企画『ニッポンのおいしい、いただきます!』。まだまだ知られていない日本のおいしいモノを紹介していきます。
前回に引き続き、今回注目するのは大分県のおいしいモノ。
豊かな山海の恵みが盛りだくさんのおいしい食材たちをピックアップしてご紹介してまいります。
Vol.2『佐伯のごまだし』
漁師の家で生まれた郷土料理佐伯ごまだし
今回ご紹介する「ごまだし」は、海の町である大分県佐伯市の漁師の家で生まれました。そのはじまりは、大漁のときに魚をごまだしにして保存したことからだと言われています。
白身魚を焼き、ゴマと一緒にすり合わせ、醤油などで味を調えた調味料である「ごまだし」は、かつては家庭ごとに「うちの味」があったほど、佐伯市の人々にとってはポピュラーなソウルフードです。

▲『佐伯のごまだし』を作っているのは、漁師の奥さんたちが結集して作った「漁村女性グループめばる」のみなさん
保存食品であるごまだしですが、原材料が新鮮であれば完成品の味は大きく変わってくるとのこと。鮮度の高い魚を使うことによって、臭みが一切なく、ゴマと合わさることで香りと味を兼ね備えた調味料になるんだそうです。

ここで強みとして生きてくるのが、「めばる」のみなさんが漁師の奥さんであるということ。この最大の利点を生かし、漁をして帰ってきた市場に出荷される前の新鮮な魚を使ってごまだしを作っているんだそうです。
ごまだしの元祖は「エソ」
ごまだしのが元祖は「エソ」。小骨が多く調理しにくいので、あまり市場に出回ることがない魚です。

▲エソの体調は10センチぐらいのものから70センチ程度のものまでさまざま。筒のように丸く細長い体とピラニアのような大きな口を持っている
漁師さんたちもエソを目的として漁をすることはほとんどなく、まき網漁など他の魚の漁のついでに獲れることが多いとのこと。佐伯のスーパーでは今でも普通に売られているそうなのですが、筆者は今回エソという魚をはじめて知りました。
ちょっぴり個性的な見た目ですが、味はクセがなくてとってもおいしいんだそうですよ。

このエソの他にも、ちょっとした傷が付いているなどの理由から市場にでない魚があります。もったいないからこれらの魚で何か商品を作って売り出せないかと考えたことをきっかけに、「めばる」のごまだし作りはスタートしました。
家庭で作るごまだしは、小骨ごとすりつぶした自家製ならではのザラっとした舌触りが特徴ですが、『佐伯のごまだし』は、丁寧に骨を取り除いて細かくすりつぶしているので、食べやすいまろやかな口当たりが特徴。新鮮な魚の旨味がすべて詰め込まれています。
シンプルだけど、旨味はたっぷり!

▲農林水産省選定の郷土料理百選にも選ばれており、NHK「きょうの料理クッキングコンテスト」で最優秀賞を受賞した『佐伯のごまだし』
ごまだしの原材料は、魚、ごま、醤油、みりん、砂糖の5つ。余計なものは一切はいっておらず、この5つのみで作られています。ですが、魚の身がたっぷり入っているので旨味がたっぷり、そしてごまをたくさんすりおろしているので、風味も豊か。
『佐伯のごまだし』には、エソ、鯛、アジと異なる魚を使った風味の異なるごまだしがあります。先ほどご紹介したエソの他、大分県の特産品であるアジと天然ものの鯛を贅沢に使い、上品でありながら旨味のある仕上がりに。使用している魚によっても風味が異なるそうなので、ぜひお好みのものを見つけてみてください。
ごまだしをおいしく味わうレシピを紹介
新鮮な魚の旨味がいっぱいのごまだしは、だし要らずで調味料としてもすごく便利。定番のうどんはもちろん、牛乳、チーズ、豆乳と乳製品との相性もばっちりなんだそう!
早速、おうちごはん編集部でもごまだしを使ったアレンジレシピを作り、そのおいしさを味わってみましたので、感想と共にご紹介します。
【1品目】ごまだしうどん
まずは一番メジャーな食べ方である佐伯の家庭の味、「ごまだしうどん」から!

材料(1人分)
・冷凍うどん……1個
・ごまだし……大さじ2
・かまぼこ……2切れ
・温泉卵……1個
・ネギ……適宜
作り方
1. ゆでたうどんを器に入れ、熱湯を注ぐ。
2. ごまだしをのせ、かまぼこ、温泉卵、ネギなどの薬味を入れて完成。
よっすぃー:「だし要らずでお湯を注げばいいだけなんて、簡単!!」
まい姉:「手軽にこんなにに魚の旨味がたっぷり詰まったおいしいうどんが食べれるなんて、ごまだしスゴイ。スープがうま~っ!」
よっすぃー:「在宅勤務中のランチにもいいよね。いろいろアレンジもできそうだし」
まい姉:「これからの季節は、お湯の代わりに冷水を注いで、冷やしごまだしうどんにしてもおいしいんだそうですよ」
【2品目】冷や汁

材料(1人分)
・ごまだし……大さじ2~
・水……200ml
・きゅうり……1本
・ミョウガ……1本
・氷……適量
※分量はお好みで調整してください
作り方
1. ミョウガなどの食材を器に入れ、ごまだしをのせて水を注ぐ。
2. 氷を加えてよく混ぜ、ご飯に掛けて召し上がれ!
まい姉:「あぁ……、だしの風味が染みる~」
よっすぃー:「これ素麺入れたくならない? 絶対おいしいよね!」
まい姉:「それ正解ですね。豆腐を入れてもおいしいらしいですよ。食欲がないときでもさらっと食べれる!」
よっすぃー:「これからの季節にぴったりなアレンジだね。」
【3品目】バーニャカウダー

材料(4人分)
・ごまだし……大さじ2
・にんにく(みじん切り)……1かけ
・生クリーム……200cc
・オリーブオイル……大さじ2
・好みの野菜……適量
作り方
1. 小鍋ににんにくとオリーブオイルを入れて弱火で熱し、香りが出てきたらごまだしを加える。
2. ごまだしの香りがたったら生クリームを加えてひと煮たちさせて完成。
よっすぃー:「乳製品と合うねぇ! 野菜がもりもり食べれちゃうよ。」
まい姉:「作り方も簡単なのに、すごく手間暇かけた味がする! ごまだし恐るべしですね」
よっすぃー:「ごまだしの魚の風味がしっかりとアンチョビの代わりになってるね」
まい姉:「ちょっとしたおもてなしとかホームパーティーメニューとしてもいいですね!」

シンプルな材料で作られているにもかかわらず、旨味がた~っぷりと詰まっている「佐伯のごまだし」。加えるだけでたちまちコクや旨味がアップするから不思議。ジャンル問わずにさまざまな料理に使える万能調味料です!
今回ご紹介した意外にも、まだまだアレンジは無限に楽しめるはず! ぜひみなさんにもこの手作り調味料のおいしさを味わっていただきたいなと思います。インターネットでのお取り寄せも可能なほか、都内でもお取り扱いのあるお店が増えてきているそうなので、ぜひ見かけた際には手に取ってみてくださいね。
前回に引き続き、今回も大分県佐伯市の生産者さんや加工業者さんと食べる人(消費者)をつなぐ食べ物付き情報誌『【大分県・佐伯市】さいき・あまべ食べる通信』さんにお取り寄せのご協力をいただきました。
生産者さんだからこそ知っている素材の楽しみ方やこだわり、故郷の美味しいものを誇りたいという強い想いがたくさん詰まっています。
創刊:2017年4月
価格:送料込みで3500円
発行時期:年4回(季刊発行)
ニッポンの美味しいを身近に感じられる『さいき・あまべ食べる通信』を、ぜひチェックしてみてくださいね。
次回も引き続き、大分のうまいモノをご紹介!
大分県の深島に代々伝わる幻の白い味噌「深島みそ」が登場します。ぜひご期待ください!
(text by まい姉)

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おうちごはん編集部 担当:金子宛