日本初出版、ウクライナのおうちごはんレシピ集
国旗の空色は「澄んだ青空」、黄色は「小麦畑」を象徴する、豊かで美しい国ウクライナ。ビーツを使ったウクライナ発祥のボルシチは日本でもお馴染みですが、他にはどんな料理があるのだろう? とすぐに思いつかない私のような方も多いのではないでしょうか。
65歳を過ぎた頃、ひょんなことからご縁に恵まれ、
ウクライナ系アメリカ人のイーゴと再婚しました。
当初、ウクライナがどこにあるのか、
それすらも知らなかったのが正直なところです。
出典:『キャプション家に伝わる日々のごはん ウクライナの家庭料理』平野顕子 イーゴ キャプション著(PARCO出版)2022
東京と京都にあるアメリカンスイーツの人気店「松之助」オーナー、平野顕子さんがウクライナにルーツを持つイーゴさんとの結婚を機に、ニューヨークで旦那様のご両親との同居生活をスタートされました。
80歳を越えても1日6時間くらいはキッチンに立っているという義母ニーナさんが作るウクライナの家庭料理は、「素朴かつシンプルな味わいで野菜の旨味を醸し出すような料理」と平野さん。
2022年11月28日に発売された、日本で初となるウクライナの家庭の味を紹介したレシピ本『ウクライナの家庭料理』(PARCO出版)はニーナさんから教わったレシピをまとめたもので、日本でも身近な材料で気軽に作ることができるのも魅力。
美しい写真やメニューにまつわるエピソードとともに、ウクライナのおうちごはんを楽しむことができる一冊です。
ウクライナの家庭料理をおうちで手軽に!
ボルシチ
毎日のようにいただくボルシチは、
日本のお味噌汁のような存在です。
出典:『キャプション家に伝わる日々のごはん ウクライナの家庭料理』平野顕子 イーゴ キャプション著(PARCO出版)2022
ウクライナの伝統料理として有名なボルシチ。義母のニーナさんが1週間に1回のペースで作られるウクライナのボルシチは、玉ねぎや人参、じゃがいもなどの野菜を細かく切るのが特徴とのこと。
ビーツは火を通しすぎると色が悪くなってしまいますから、
スープ作りの最後の工程で下ゆでしておいたビーツを加え、
さっと煮るだけでにして美しい色合いに仕上げます。
出典:『キャプション家に伝わる日々のごはん ウクライナの家庭料理』平野顕子 イーゴ キャプション著(PARCO出版)2022
ボルシチをおいしくいただくために、欠かせないのがサワークリーム。
「独特のコクと酸味がプラスされて、より深くておいしい味わいになりますので、くれぐれもお忘れなく!」と平野さん。
毎日食べたくなるようなほっとする味わいで、からだも心もぽかぽかに。
チキンキーウ(キーウ風カツレツ)
日本ではキーウ風カツレツと呼ばれることもあるチキンキーウも、ウクライナを代表する伝統料理のひとつ。
付け合わせには炊いたそばの実と葉野菜、レモンを添えて。中からジュワーとあふれ出てくるハーブガーリックバターと衣のサクサク食感が、たまらなくおいしい一皿です。
クネードリ(鶏団子のサワークリーム煮)
サワークリームのコクとマッシュルームの風味が鶏団子のおいしさを引き立てるクネードリは、平野さんのお気に入りのウクライナ料理だそう。
結婚してすぐに義母から教わったこのレシピを
夫と私、ふたりともよく作ります。
出典:『キャプション家に伝わる日々のごはん ウクライナの家庭料理』平野顕子 イーゴ キャプション著(PARCO出版)2022
卵黄と卵白を別々に使うことでふわふわな鶏団子に。仕上げにチーズをからめると風味とコクがさらにプラスされてリッチな味わいが楽しめます。
義妹さんも料理上手!
義母のニーナさんはもちろん、義妹のマリアさんも料理上手ということで、おいしい料理を手早く作られるマリアさんの直伝レシピも紹介されています。
義妹の料理は洗練されたニューヨークスタイルですが、
家庭的な温かいムードが漂っているので、
そこに東欧らしさが反映されているような気がします。
出典:『キャプション家に伝わる日々のごはん ウクライナの家庭料理』平野顕子 イーゴ キャプション著(PARCO出版)2022
平野さんのおすすめはサーモンのメープルシロップ焼きで、「シンプルなレシピですが、この上なくおいしい!」とのこと。ぜひ作ってみたいな。
シルニキ(カッテージチーズのパンケーキ)
ウクライナの家庭料理でよく使われるカッテージチーズがたっぷりと入ったパンケーキのようなシルニキは、ウクライナで愛されている昔ながらのおやつ。
表面はカリッ、中はふわふわ食感で、簡単にできるので朝食として食べる方が多いのだそう。
密閉容器に入れて冷蔵庫で4~5日は保存可能とのことで、作りたてはもちろん、作り置きしたものもおいしく食べられるのはいいですね。
この本をきっかけに
本書がウクライナの味を知っていただくきっかけとなり、
また、あらためてウクライナのことを
理解していただける機会になれば幸いです。
出典:『キャプション家に伝わる日々のごはん ウクライナの家庭料理』平野顕子 イーゴ キャプション著(PARCO出版)2022
英語を話せない義母ニーナさんからレシピを教えてもらう際には、夫のイーゴさんが常に寄り添い、ウクライナ語を英語に根気強く通訳してくださったとのことで、「料理を通じてウクライナに少しでも思いを馳せていただけたらうれしいです」と平野さん。
愛情あふれる素朴なウクライナの家庭料理、みなさんもおうちでぜひ作ってみてくださいね。