料理が苦手でも大丈夫!さなえごはんさんに聞く“毎日がときめくごはん”作りのコツ

毎日料理をするのは大変だけど、おいしく作れたときは幸せな気持ちになるもの。そんな“ときめく”レシピを、誰でも簡単に作れるよう一冊にまとめたのが『毎日がときめく ひとりごはん(ときどき、ふたりごはん)』。今回は著者である“さなえごはん”こと、藤本早苗さんに聞いた“ときめくごはん”作りのコツとレシピ2品をご紹介します。

簡単だけどちょっと自慢できる“ときめく”レシピ、教えます!

写真/菊地菫(家の光協会)

さなえごはん(@sanaegohan)としてInstagram等でおいしい情報を発信している料理研究家の藤本早苗さん。

今年の3月に早苗さんの初の書籍『毎日がときめく ひとりごはん(ときどき、ふたりごはん)』(家の光協会)が発売されました。

“毎日がときめくごはん”と聞くと、なんだか作るのが難しそうに感じる方もいるかもしれませんが、そんなことはありません!

▲チキンソテー ナツメグ風味の焼きトマトと(P8掲載)

たとえば、「チキンソテー ナツメグ風味の焼きトマトと」は、フライパンで鶏肉とトマトをこんがりと焼いただけ。ところが、焼いたトマトにナツメグを振りかけるとアラ、不思議! 甘~く刺激的な香りが漂い、一気に“ときめく”料理に変身しちゃうんです。トマトを崩してソース代わりにして味わえば、思わず笑みがこぼれるはず。

本著では、一見、手間がかかりそうに見える料理も、必要最低限の工程で“ときめく”レシピに仕立てています。これから料理を始める人も、料理は苦手……と悩んでいる人も、こんなレシピなら「今日、作ってみよう!」と思えるはず。

そこで今回は、簡単だけどちょっと自慢できる“ときめく”レシピについて、早苗さんに伺いました!

「料理をしてみたい、好きだな」と思えるような一冊に

▲ししゃもスイートチリ南蛮(P48掲載)

――『毎日がときめく ひとりごはん(ときどき、ふたりごはん)』は早苗さんにとって初の書籍となります。今回のテーマはどうやって決まったのでしょうか?

私は日頃から「この料理を作ってみたい!」というときめきが、日々を少しでも楽しく乗り切る力になったらいいな、という思いで活動を続けています。

そんな中で、新生活が始まる時期に向き合う料理が「しなければ、上手にならなくては」ではなく「してみたい、好きだな」と思えるようになる本を作りませんか?とお声掛けをいただいたことから始まりました。

私の思いとみなさんの生活のタイミングがリンクする、素敵な企画だと思いました。

――本著は第1章から第4章までありますが、掲載するレシピを選ぶうえで、どんなことを心掛けましたか?

「作ってみたい」と思ってもらえるようにちょっと変わったポイントがあることと、できるだけ手順が簡単であることを心掛けました。

ちょっと変わったポイントとしては、クリームソースにクミンを使ったり、ししゃもを南蛮漬けにしたり、ごぼうをみじん切りにして使ったりしています。

手順が簡単という点では、切って和えるだけのタルティーヌやカプレーゼ、材料をどんどん入れていけばできるものを紹介していたり、ひき肉を練るときに手ではなくスプーンを使ったりも。

すべてのレシピにそんなポイントを盛り込んでいます。

――ちょっと変わったポイントがあると、たしかにわくわくして作りたくなりますね。そういったレシピはどうやって思いつくのでしょうか?

まず、食べたい食材や使わなくてはいけない材料を軸に、どんな味や食感で食べたいかを考えます。そのときに「わくわくポイント」を盛り込めないかなぁとも思っていて。

「きゅうりをすりおろす?水気を絞ればソースになりそう」とか「たらこに茗荷を合わせたら?色も合っているし味のアクセントにもなりそう」など、味や食感を想像しながらアイデアを練ります。さらに「これを韓国風にしたら?」というように、国の雰囲気をかけあわせて発想を促すこともあります。

――本著にはそうして生まれたレシピが62品も掲載されているんですよね。

はい、書き下ろしたレシピも多いので、普段からSNSを見てくださっている方にも楽しんでいただけると思います。

特に「スペアリブとグリーンピースのビネガー煮」は、長時間調理が必要なイメージのスペアリブを、煮込み時間25分で楽しめるお気に入りです。

▲スペアリブとグリーンピースのビネガー煮(P94掲載)

副菜ですが「いんげんのミントバター」も、いんげんの甘みとミントバターの風味が好相性でおすすめです。

▲いんげんのミントバター(P87掲載)

ヘルシーなごはんが食べたいときは「カオマンガイ風ゆで鶏」をよく作ります。

レシピ本ではきゅうりだけを添えていますが、トマトや大葉なども一緒にレタスで巻いて食べると野菜もたくさんとれますよ。

ゆで汁でスープを作れるのも好きなポイントです。

▲カオマンガイ風ゆで鶏(P98掲載)

――早苗さんのレシピは、スパイスを効果的に使ったものが多いですよね。スパイスって慣れないと使いこなすのが難しいように感じてしまいますが、初心者にもおすすめのスパイスはありますか?

五香粉は、甘辛い照り焼き味に少し加えるだけで、本格中華っぽい風味になるので使いやすいかと思います。餃子や唐揚げなどの下味に使っても◎。いつもと違った雰囲気が楽しめますよ。

クミンといえば、スパイスカレーに欠かせない存在ですよね。でも、実はバターや生クリームなどの乳製品とも相性がよく、意外と使い道が多いんですよ。

レシピ本では巻末に食材別索引を設けているので、スパイスを使用しているレシピを探していろいろと楽しんで欲しいです。

「ふたりごはん」は作る過程も一緒に楽しみたい

▲ぶりのアクアパッツァ(P106掲載)

――本著は第1~3章までは「ひとりごはん」がテーマですが、第4章では、大切な人と楽しむ「ふたりごはん」が紹介されています。ふたりごはんを作るうえでのコツはありますか?

作業を分け合って作ることでしょうか。たとえば自分がコンロを使う作業をしつつ、切ったり混ぜたりするのをお願いすると、本当の「ふたりごはん」になって、その後に食べる時間もより一層楽しいものになる気がします。

また、仕上げは自分でするスタイルにすると、シンプルな料理でも盛り上がる食卓になるのでよくやります。豚しゃぶを薬味やたれと一緒にレタスで巻いたり、刺身をキムチやアボカド、クリームチーズなどと海苔で巻いたり。材料がずらりと並んだ様子も豪華に見えますし。

「これは何の風味?」「この組み合わせ、おもしろいね」など、話に花が咲く糸口にもなるので、手前みそながら私のレシピを活用してもらえたら、と思います。

――和やかな食卓の光景が目に浮かぶようです! 一方で、あまりにも疲れていると、簡単なひとりごはんですら作るのが面倒になるときも……。そんなとき、早苗さんはどうしていますか?

そんなときは作らないです。

普段からお気に入りの、少し高価な冷凍やレトルトの食品をストックしておいて、それを「ごほうびごはん」として食べることにしています。

惣菜を買って帰るにしても何を食べるか考えて決めなくてはならず、それすらしんどいときも……。何もしなくても気分が上がる、この方法が気に入っています。

――たしかに無理をしてまで作る必要はないですもんね。作る意欲があるときは、本著をぜひ活用してもらいたいですね。

はい。これから料理を始めてみようという方や、料理にマンネリやしんどさを感じている方にも「これ、作ってみたい!」と心が動くレシピと出合ってもらえたら。

そして、いつも通り過ぎるスーパーの棚に材料を探しに行ってみたり、作りながら「どうなるんだろう」とわくわくしたり、できあがったものを食べて作った自分を褒めたり、日常の中のささやかな冒険のきっかけになれたら、こんなに嬉しいことはありません。

第4章で紹介している「ふたりごはん」も、特に副菜は気軽なレシピなので、ひとりごはんにも取り入れて楽しんでもらえたらと思います。

――最後に、「ときめき」って日々の生活において大事だなと思うのですが、早苗さんが今、ときめいているものはありますか?

野球観戦です。広島出身なので、生まれながらのカープファンでして、シーズンが始まると浮足立ちます。球場にもときどき観に行くのですが、神宮球場で観戦しながら飲むビールは最高です。勝手に「野球も観られるビアガーデン」と呼んでいます(笑)。

――ありがとうございました!

掲載されているレシピを2品ご紹介!

本著の中から、「牛肉のヌクチャム風サラダ」と、「蒸し煮スパイスチキンカレー」のレシピをご紹介します。どちらもこれからの季節にぴったりな味わいなので、ぜひ作ってみてくださいね。

牛肉のヌクチャム風サラダ

「ヌクチャム」は、生春巻きのつけだれにも使われる、ベトナムの万能ソース。甘酸っぱ辛い味付けがクセになります。こちらは唐辛子を入れない簡易ver.なので、辛いものが苦手な方でも安心!

材料(1人分)

・牛薄切り肉(しゃぶしゃぶ用)……100g
・きゅうり……1/2本
・塩(下ごしらえ用)……少々
・トマト……1/4個
・赤玉ねぎ……1/10個
・パクチー……1株(10g)

【A】
・ナンプラー……大さじ1/2
・レモン汁……小さじ2/3
・砂糖……ひとつまみ

・ナッツ(アーモンドやカシューナッツなど)

作り方

1. 下ごしらえをする。きゅうりは縦半分に切って斜め薄切りにし、塩をまぶしてしばらくおいてから水気をよく絞る。トマトは、くし形切りにしてから斜めに切る。赤玉ねぎは3mm幅の薄切りにする。パクチーは仕上げ用の葉を少し取り分け、残りをざく切りにする。ナッツ適量は粗く刻む。肉は大きければ食べやすいサイズに切る。

2. Aをよく混ぜ、1のきゅうり、トマト、赤玉ねぎ、パクチーを和える。

3. 鍋に湯を沸かして火を止め、牛肉をさっとくぐらせてキッチンペーパーに取る。ペーパーで押さえて水気を取ったら、2と合わせてざっと混ぜる。
※肉は沸騰した湯でゆでると硬くなりやすいので、必ず火を止めてから。たれの味が薄まらないよう、水気はしっかり拭き取って。

4. 器に盛り、ナッツを散らし、仕上げ用のパクチーの葉をのせる。

蒸し煮スパイスチキンカレー

カレー粉+クミンシードで作る、オイル少なめのさらっとしたカレー。仕上げになめらかに混ぜた無糖ヨーグルトや牛乳を大さじ1~2ほど加えると、まろやかな味わいになります。

材料(1人分)

・鶏もも肉……100g
・トマト……1/2個(100g)
・カレー粉……小さじ1
・クミンシード……小さじ1/2
・ゆで卵……1個

【A】
・玉ねぎ(小)……1/2個(80g)
・にんにく、しょうが……各3g

・植物油、塩、温かいごはん

作り方

1. Aをすべてみじん切りにする。トマトは2cm角に、鶏肉は3cm角に切る。

2. 直径20cmくらいの小さめのフライパンにA、油大さじ1、塩小さじ1/4を入れて混ぜ、中火にかける。じゅわじゅわと音がしたら弱火にしてふたをし、ときどき焦げないように混ぜながら8分蒸し焼きにする。
※フライパンが大きいと玉ねぎの水分がすぐに蒸発してしまいます。小さいフライパンで水分を保ちながら蒸し、味の土台になる玉ねぎの甘みをじっくり引き出します。

3. トマトを加えて中火にし、トマトをつぶしながら全体がペースト状になるように炒める。1の鶏肉、カレー粉、クミンシードを加えてさらに炒め、肉の色が全体に変わったら水1/2カップを加える。

4. 沸騰したら弱火にし、ふたをして10分ほど煮る(水気が多いようなら、ふたを取ってさらに煮る)。塩をひとつまみ~ふたつまみほど加えて味を調える。

5. 器にごはん適量を盛り、4をかける。半分に切ったゆで卵を添える。

料理上手の前に「料理好き」を目指そう!

『毎日がときめく ひとりごはん(ときどき、ふたりごはん)』には、ウィークデーの気軽な一皿から、大切な人と囲む特別な食卓まで、とっておきのレシピがたくさん掲載されています。

レシピの中には使い慣れない食材やスパイス、ハーブもあるかもしれませんが、使い回しできるよう、複数のレシピに登場しているのでご安心を。

「これ、おもしろそう」と思ったら、ぜひ気軽に作ってみてください。

作って、食べて楽しむうちに、いつの間にか料理が身近な存在になっているはず。料理上手になるのはハードルが高くても、「料理好き」になるのは意外と簡単かもしれません!

毎日がときめく ひとりごはん(ときどき、ふたりごはん) | 藤本 早苗 |本 | 通販 | Amazon

藤本早苗さんプロフィール

ケータリングや企業へのレシピ提供など、食にまつわるさまざまな仕事に携わる。また「さなえごはん」として、SNSでもおいしい情報を発信中。手軽なのに華やかで、思わず「作ってみたい!」と感じるような、季節ごとの「ときめくレシピ」が多くのフォロワーに支持されている。食いしん坊かつ呑兵衛で、好きな食べ物は鶏もも肉。書籍『わたしに優しい 米粉とみりんのお菓子と料理』(日東書院)ではレシピ作成を担当。

藤本早苗さん(@sanaegohan)のInstagram

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