料理上達の秘訣とは?/家事えもんこと松橋周太呂さんインタビュー・前編

「#わたしの必殺ごはん」コンテストにも登場いただいた“家事えもん”こと、松橋周太呂さんにおうちごはん編集部がインタビュー。家事名人として活躍されるまでのエピソードや料理上達の秘訣などのお話を伺いました。さらに、家にある食材で簡単にできるアイデアレシピも教えていただきました。インタビューの前編、ぜひご覧ください!

“家事えもん”こと松橋周太呂さんに、料理に関するあれこれを聞きました

日本テレビ「得する人損する人」の得損ヒーローズとして活躍中の“家事えもん”こと松橋周太呂さん。おうちごはんの「わたしの必殺ごはんコンテスト」でも審査員として登場いただきましたが、おうちごはんの読者アンケートでは、毎回インタビューしてほしい人ランキングの上位にランクインしています。そんな松橋さんに、今回は念願かなってインタビューをさせていただきました!
今や家事の名人としておなじみですが、昔から家事が得意だったのでしょうか? また、どうやって料理の腕を磨いたのでしょうか?

今回は、インタビューの前編をお届けします。料理をはじめたきっかけや芸人仲間とのエピソードなど、気になるお話を伺ってきました。

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僕は料理は好きですが、シロウトです

ーー松橋さん、あらためましてよろしくお願いします。みんなが憧れる料理の腕前をお持ちの松橋さんですが、一番最初に作った料理は何だったのでしょうか?

小学校3年生くらいのときに、調理実習でクレープを作ったんです。それを家で作ってみたのが最初ですかね。甘いクレープも好きだったけど、ハムやレタスなんかを挟んでしょっぱい系のクレープを作った記憶があります。

ーー料理に興味を持ったきっかけは、叔母さんから教わった「手羽元のオレンジマーマレード煮」だそうですね。

そうですね。叔母が料理を楽しむきっかけをくれたからこそ、クレープも家で作ってみようという気になったんだと思います。
母子家庭だったので、料理をする環境にはあったんです。最初は、切った食材が用意されていて「これで焼きそば作りなさい」という感じだったのが、歳を重ねてきたら1000円を渡されて「これで何か作りなさい」というようになっていき……。でも子どもなので、おもちゃとかお菓子とか欲しいじゃないですか(笑)。だから200円はガチャポンに使って、残りの800円でごはんを作ろうという風に、節約してやりくりするようになりました。

ーー料理上達のために、ご自身で何か勉強されたんですか?

僕は料理は好きですが、上手ではありません。20歳くらいになって独り暮らしを始めた頃と比べても、僕自身の料理技術は大きくは変わっていないと思いますよ。毎日料理をされている主婦の方々に比べたら、僕の料理技術はたいしたことないと思っています。

ただ僕は、尋常じゃないくらい面倒くさがりなんです(笑)。面倒くささの頂点に達して、簡単に終わらせる方法を考えるようになりました。
料理屋さんでの修行経験もないし、調理師免許も持っていないので、技術的には完全にシロウトですが、家事をとっとと終わらせることはできるようになったんです。

ーー料理に技術は必要ないと。

技術がなくても、今まで一度も困ったことはありません。

プロの料理人さんが言っていたんですが、例えば玉ねぎを薄くスライスするとしても、切れる包丁じゃないとできないそうです。ふわふわのオムライスを作るときも、焦げ付くフライパンじゃうまく作れないですよね。プロの料理人さんたちは、技術もありますが道具にもかなりこだわっています。料理は道具で結構変わってくるんです。
だからこそ、とにかくさぼりたい僕は、道具は自分に最適なモノをと思って頑張って探しています。若手のときは、劇場近くの東急ハンズに小道具を買いに行くついでに、よくキッチンアイテムを買ったりしていました。アイテムに頼ればどんどん家事がラクになるんですが、頼っているから僕はなかなか料理が上手にならないんです(笑)。

お金をかけずにおいしくアレンジする方法をいつも考えている

ーー芸人仲間のみなさんにも料理を振舞われていたそうですが、好評だった料理はありますか?

若手の芸人なので基本的にお金がないんですよ(笑)。お金がない中でおもてなし感を出すためにはどうしたらいいんだろうと色々考えましたね。
例えば、試作を重ねて完全再現した有名店のハンバーガー。これは僕のおもてなしの原点。ハンバーグとミートソースをそれぞれ出したら普通の料理だけど、それを全部挟んでごちそうバーガーにしたら、一気におもてなし感が出るんです。これは、芸人仲間からも好評でしたね。

ーー食材の組み合わせや盛りつけ方の工夫次第で、お金をかけずともアレンジができちゃうんですね。

そう、僕のモットーは「“お金”かけずに“手間”かける」です。
手間といっても時間をかけるのではありません。なるべくお金をかけずにおいしく、特別感を出すようにとちょっとしたコツを加えるようにいつも考えています。

いつも冷奴をトマトソースで出すんですが、これも芸人仲間から好評です。
おもてなしする際に冷やしトマトって出しにくくないですか? でも、トマトに白だしを薄めた出汁をかけてかつおぶしをのせるだけで、煮びたしのようになります。それを僕は「冷やしおでん」とか呼んだりしてます! 冷奴もそのままじゃちょっと出せない。でも、豆腐をスプーンですくうとおぼろ豆腐になりますよね。かかっている材料は安いけど、安っぽく見えないし、ちょっとの手間ですごく手が込んでいるようになります。

あとは、冷奴にトマトという驚きで話も盛り上がり、作り方も簡単なのでみんなも家で作ってみてくれたりするんですよ。その場での会話もセットでおもてなし料理を考えるようにして、お金をかけずにどうやってみんなを驚かすかということを考えて作っています。

ーー斬新な組み合わせ! マネしてみたいと思える手軽さがいいですね! そのアイデアはどうやって思いつくのでしょうか?

僕は専門家ではなくシロウトなので、食べてみておいしいなと思ったものを家で色々試しに作ってみています。
例えば、ロバートの山本さんが連れて行ってくれた和食屋さんでよく食べていたお刺身のジュレサラダ。ひろしさん(ロバート山本さん)にはずっとごはんをおごってもらったり、色々とお世話になっていたので、好きだったこのお刺身ジュレサラダを再現して食べてもらったりしました。

ーーなるほど。自分でも再現して作ってみるんですね。

おいしかったなと思ったお店の味なんかは、マネできないかなと思って家でやってみることが多いです。以前行った焼き鳥屋さんにおいしいネギのソースがあったので、これもマネして作ってみました。たぶん鶏の油が入っているんだろうなと思ったんですが、家で作るときに鶏の油をとるのは面倒だなと思って、豆乳にごま油と鶏ガラスープを入れてみたら近い味になりました。そこにネギを入れて、酸味をプラスするためにヨーグルトを入れたりしてお店の味に近づけるように色々試しましたね。

ーーどうやったらその味になるのかわからないときに、お店の人に聞いたりすることもあるんですか?

どうしてもわからないときには、直接聞いてみることもあります!
よしもとで沖縄映画祭というのがあって、よく沖縄に行っていたんですが、僕は沖縄そばがすごく好きで。このスープはどうやって作るんだろうと気になってお店の人に聞いてみたことがあります。返ってきた答えは、鶏ガラとかつお、または鶏ガラととんこつのWスープ。家で鶏ガラやとんこつの出汁をとるのは大変なので、和風の顆粒出汁と鶏ガラスープのもとを1:1にしてお湯でわり、みりんを少したらしてみたら沖縄そばの味になりました!
ゼロから作り方を考えるというよりは、こんな感じで人のマネをしてみたりしながらとにかく試して作ってみています。

【レシピ】和風トマトソースが決め手!トマトの赤い冷奴

おうちにあるもので簡単にアレンジできちゃうというアレンジレシピ。芸人仲間にも好評だというトマトの赤い冷奴の作り方を教えていただきました!

材料(2~3人前)

・絹ごし豆腐……1丁
・しそ……2枚
・みょうが……1個ほど
・揚げ玉(天かす)……適量
・コーヒーミルク……1個

<和風トマトソース>
・トマト缶(カットでもホールでもOK)……1缶(400g)
・白だし(めんつゆでも可)……100cc
・すりごま……大さじ4~5(たっぷりと)
・エキストラバージンオイル……大さじ1
・塩……少々
・粗引きこしょう……少々

作り方

1. まず<和風トマトソース>を作ります。トマト缶と白だしをミキサーにかけます。これをボールに入れ、すりごま、オリーブオイル、塩、粗引きこしょうを混ぜればソースが完成。

※ミキサーがおうちにないという方は、秘密道具「キッチンバサミ」を使います。トマト缶の中に、清潔なキッチンバサミを直接突っ込んで、缶の中でチョキチョキ動かしてトマトをみじん切りに!

2. 豆腐を盛りつけます。ここで秘密道具「スプーン」を使います。スプーンでアイスクリームのようにすくって盛りつけましょう。
☆スプーンですくうとオシャレに盛りつけられるだけではなく、断面がざらりとしてソースの味が絡みやすく、安い豆腐でもおいしく感じられます。

3. 仕上げに、味をマイルドにしてくれて見た目にもきれいになるコーヒーミルクを回しかけ、揚げ玉をちらし、千切りのみょうがと細切りのしそを盛りつけて完成。

聞けば聞くほど出てくる料理のアイデア!

松橋さんへのインタビューはまだまだ続きます!
次回インタビューの後編では、お金をかけずにおもてなしをするコツや奥様とのお料理エピソードもお届けします。ぜひチェックしてください!

お金をかけないおもてなしのコツ/家事えもんこと松橋周太呂さんインタビュー・後編

松橋周太呂さん プロフィール

1985年1月19日生まれ。東京都出身。吉本総合芸能学院(NSC)9期生。お笑い芸人として活躍する一方、趣味である「おもてなし」から幅を広げ、掃除能力検定士5級、ジュニア洗濯ソムリエの資格を取得し、家事大好き芸人としてテレビや雑誌などに多数出演中。

松橋 周太呂 (@matsushutaro) | Twitter

(text by KaneKoma)

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