
雨の多い6月はおうちでのんびり映画とごはん
突然の雨で傘がなく、たまたま通りかかったちょっと気になる男子の傘に入れてもらう……。
私は若いころ、よくそんな妄想をしていました……(笑)。残念ながら現実とはならなかったけれど、映画の中では、雨の日に運命の出会いがあったり、転機が訪れたりと、さまざまなドラマが巻き起っています。
そこで今回は、そんな“雨”がキーワードになっている映画と、合わせて味わいたいさっぱりごはんをご紹介。早速、次の雨の日にでもいかがでしょうか?
1.『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』(2013年/イギリス・アメリカ)
『ラブ・アクチュリー』などのロマンティックなラブコメディーに定評のあるリチャード・カーティス監督が、タイムトラベルの能力を持つ青年を主人公につづる人生賛歌。恋人や友人、家族と当たり前のように過ごす日常の大切さが描かれています。
自分に自信が持てず彼女ができないティム(ドーナル・グリーソン)は、21歳の誕生日に父親からタイムトラベル能力があることを知らされます。やがて魅力的な女性メアリー(レイチェル・マクアダムス)と出会い、恋に落ちるのですが、タイムトラベルが引き起こす不運によって、二人の出会いはなかったことに! 果たしてティムとメアリーの運命は?
注目は2人の結婚式のシーン。当日の天気はひどい嵐で、パーティー会場のテントは破け、みんなビショ濡れに。せっかくの準備はすべて水の泡になってしまうのですが、メアリーは「私たちの人生も同じ。いろんな天気があるわ」と楽しそう。メアリーの赤いウエディングドレスもとてもすてきで、「こんな結婚式もいいかも」と思ってしまう名シーンです!
“晴れの日”にも。美しいモザイク寿司
結婚式のシーンが印象的な『アバウト・タイム―』に合わせたいのは、昔から祝いの席などおめでたい時に食べられてきたお寿司。爽やかな酸味がきいた酢飯は、さっぱりごはんの定番ですよね。
@fu0821 さんの「モザイク寿司」は、まさにお祝いの席にもぴったりの華やかさ! 薄焼き卵や、いくら、菜の花など色とりどりの具材がとてもきれいですよね。@fu0821 さん自らさばいたという舌平目のお刺身は、ザクロでおめかし。白身魚のお刺身を一気にかわいく変身させちゃうこのアイデアも、ぜひマネしたいですね!
今の季節にぴったり!紫陽花オープン稲荷
@725_kwhr さんは紫陽花をモチーフにしたオープン稲荷を手作り。紫陽花にはカラフルな蒲鉾シート「#ととしーと」が使われています。こんなふうに竹籠に入れると、ますます風情が出ますね。梅雨の時期はちょうど紫陽花が見ごろで、くすんだ花の色は太陽の下よりも雨雲の下のほうが映えるのだとか。敢えて雨の日に、このお弁当を持って出掛けてみるのもいいですね。
2.『言の葉の庭』(2013年/日本)
『君の名は。』の新海誠監督が、少年のひと夏の淡い想いを繊細なタッチで描いた恋の物語。新海作品の特徴でもある美しい景色は、アニメーションであることを忘れそうになるほど!
梅雨の季節に日本庭園で出会った、靴職人を目指す高校生・タカオと謎めいた歳上の女性・ユキノ。二人は約束もないまま雨の日だけの逢瀬を重ねるようになり、次第に心を通わせていくのですが……。
劇中、ほとんどのシーンで雨が降っていて、地雨、夕立、天気雨、豪雨など、さまざまな雨がアニメーションで丁寧に表現されています。出会いのシーンはやや強めの雨で、心が近づくにつれ雨も穏やかになっていくなど、雨が二人の心情を雄弁に語っているところも面白いです。
冷やし中華、はじめませんか?
暑くなってくると食べたくなるのが「冷やし中華」。『言の葉の庭』でも、料理が得意なタカオが作るゴーヤやプチトマト入りの冷やし中華が登場します。
@take1935 さんの「冷やし中華弁当」にもプチトマトを発見! それ以外の具材はきれいに細く切りそろえられていて、盛り付けも美しいですよね。ちなみに白い具材は、卵の白身を焼いたものだそう。彩りもばっちりで、崩すのがもったいないぐらいですね!
3.『ミッドナイト・イン・パリ』(2011年/スペイン・アメリカ)
ウディ・アレン監督が全編パリで撮影したロマンティック・コメディー。ヘミングウェイやピカソらが暮らした1920年代の黄金期のパリに郷愁を抱く青年が、夜ごとタイムスリップを繰り返し、憧れの芸術家たちとめぐり会うという奇想天外な物語です。
ハリウッドの脚本家・ギル(オーウェン・ウィルソン)は、婚約者と共にパリへ。ある夜、彼が深夜0時を告げる鐘の音に導かれて迷い込んだ先は、活気みなぎる1920年代のパリ! 驚く彼の前に偉大な芸術家たちと、妖艶な美女アドリアナ(マリオン・コティヤール)が現れて……。
雨の日が多いパリ。ギルは「パリは雨のときが一番美しい」と語り、散歩を楽しみますが、婚約者は「濡れるだけよ」とバッサリ。そんな中、アドリアナと出会ったギルは彼女にどんどん惹かれていきます。そしてラストはポンヌフ橋の上での突然の雨。その雨によってラストシーンがより素晴らしいものに!
パリっ子も大好きな冷製スープ
ヨーロッパで夏によく食べられる冷たいスープといえば「ガスパチョ」。トマトや玉ねぎ、パプリカなどの野菜がたっぷりで、お酢の爽やかな酸味が食欲を引き立たせてくれます。
おうちごはんのコラムでおなじみの @utosh さんも以前、コラムに「夏の終わりに訪れたパリのお店にはガスパチョしかスープがなかった」と書かれていました。
@mana_o1122 さんのガスパチョも野菜がたっぷり。ヨーグルトをトッピングしているので、少しまろやかな味わいなのだとか。こんなふうにグラスに入れるととってもおしゃれですね!
お肉料理もさっぱりと!
ギルが憧れのヘミングウェイと出会った店「ポリドール」は、パリに実在するビストロで、牛肉のワイン煮込みなどが人気。
そう聞いて肉料理が食べたくなったのなら、鶏もも肉でネギとチーズを包んで蒸した「チキンロール」はいかが? @misumisu0722 さんはそこに、たたいた自家製梅干しと胡麻油のタレをトッピングしていただくそう。さっぱり爽やかな味わいで、お子さんもモリモリ食べてくれたそうですよ。気になるレシピは、@misumisu0722 さんのブログに掲載されているので、ぜひチェックしてみてくださいね。
4.『ショーシャンクの空に』(1994年/アメリカ)
スティーブン・キングの原作小説を映画化した感動作。ショーシャンク刑務所で出会ったアンディ(ティム・ロビンス)とレッド(モーガン・フリーマン)との友情を軸に、アンディが巻き起こす奇跡が描かれます。
無実の罪でショーシャンク刑務所送りとなった元銀行マンのアンディ。それでも自由を得られる日が来ることを信じ続けていました。古株の囚人レッドはそんなアンディに、「刑務所で希望を持つのは禁物」だと忠告します。やがてアンディは冤罪を晴らす重要な手掛かりをつかむのですが……。
クライマックスでアンディが土砂降りの雨に打たれるシーンでは、思わず胸も目頭も熱くなってしまうはずです!
アンディとレッドにささげる、冷製うどんのそろいごはん
アンディとレッドの友情にも心打たれる本作。そこで、大切な人と二人で食べたいそろいごはんをピックアップしました。
こちらのそろいごはんは、アボカド、納豆、イカなどをのせた爆弾丼ならぬ、爆弾うどん。爽やかな冷製うどんで、これからの季節にぴったりです。アボカドやラディッシュの切り方もとてもおしゃれ。レシピは @utosh さんのブログに載っているので、要チェックです!
すてきな映画とごはんで雨の日も楽しく!
雨と聞くと何となく暗い気分になりがちですが、雨のシーンがすてきな映画を見ると「そんなに悪いもんじゃないな」と思えてきますよね。ここでご紹介した以外には、戦後最大のミュージカル・スター、ジーン・ケリーが雨の中で華麗なダンスを披露する『雨に唄えば』も楽しい気持ちになる作品です。雨が降っているからこそ見える景色や伝わるものってきっとあるはず。雨と映画を眺めつつ、夏が来るのを待つとしますか!
(text by コノ)