
金沢が生んだ伝統野菜「加賀野菜」の魅力に迫ります
食欲&物欲旺盛なおうちごはん編集部とその仲間たちが、日本全国にある「おいしいモノ」を発見していく新企画『ニッポンのおいしい、いただきます!』。
まだまだ知られていない日本のおいしいモノを紹介していきます。
第1弾は、金沢の伝統野菜「加賀野菜」を5回にわたる連載企画でご紹介。旬の加賀野菜をピックアップし、その特長やアレンジレシピなどをお届けします。
前回のVol.1では、肉厚で食べ応えのある『金沢春菊』をご紹介しました。
Vol.2 『加賀れんこん』
Vol.1の金沢春菊に続き、Vol.2の今回ご紹介するのは『加賀れんこん』。

産地:金沢市小坂地区、河北潟干拓地、薬師谷地区、才田地区、森本地区
出荷時期:8月下旬~5月頃
『加賀れんこん』は、独自の品種というわけではなく、他の産地でも栽培している「支那白花種」という品種のれんこんです。加賀の地での栽培歴史は、なんと300年以上!
これまで様々な品種が導入されては改良が加えられ、昭和40年代中頃、支那蓮種から選抜育成してきたのが、現在の品種「支那白花種」なんだそう。現在では、加賀れんこんの栽培は、才田、森本地区、河北潟干拓地まで広まり、一大産地となっています。
粘土質泥地の土壌で300年以上という長い年月をかけて育てられるうちに、もっちりした食感に育ち、“加賀れんこんらしく”なってきたんだそうです。
一目置かれる加賀れんこんの品質
加賀れんこんは、全体的にずんぐりと太く、穴が小さい分肉厚であることが特徴です。太くて節間が短く、特に先の方の二節がおいしいんだとか。
また、でんぷん質が多くて粘りが強く、実が締まっていることも加賀れんこんの特徴の一つ。この特徴を活かし、金沢では伝統料理の「蓮蒸し」などに使われています。
さらに、肉質がとてもきめ細かく、可食部が雪のように白いのも、加賀れんこんならでは。栄養価が高く、すりおろすともっちりなめらか食感を楽しむことができます。

れんこんは土に埋まっているので、収穫するまでは目で見ることができません。しかし、加賀れんこんの生産者さんたちは、葉や茎の様子を見れば、その下にのびているれんこんの状態がわかるんだそう。これは、長年培ってきた経験があるからこそ成せること……。
しっかりと手間をかけ、伝統を受け継ぎながら大切に育ててきた生産者さんたちの汗と想いこそが、加賀れんこんの高い品質を保っているんですね。
加賀れんこんを使ったレシピをご紹介
では今回も、この加賀れんこんをおいしく味わうアレンジレシピをご紹介したいと思います。
Vol.1に引き続き、ごはんが大好きな食いしん坊インスタグラマーの@cao_lifeさんにご協力をいただき、加賀れんこんを使ったレシピを考案いただきました!

cao_lifeさんプロフィール

岡山県在住。「おいしいモノ」「たのしいヒト」に出会うことがとにかく大好き。
おいしいモノの情報収集には余念がなく、気になったらまずは試してみるのがモットー。一目会えば、誰もが彼女の魅力にハマり、またすぐ会いたくなる、そんなオーラをまとった人気のインスタグラマー。

【1品目】加賀れんこんの月見つくね

材料(6個分)
・加賀れんこん……10cmくらい
・鶏ひき肉……200g
・木綿豆腐……100g
・白ねぎ……1/3本
【A】
・片栗粉……大さじ1
・醤油……大さじ1
・酒……大さじ1
・みりん……大さじ1
・パン粉……大さじ2
・片栗粉……大さじ2(※)
・ごま油……大さじ2
【B】
・酒……大さじ1
・みりん……大さじ1
・砂糖……大さじ1
・醤油……大さじ1.5
・卵黄……すきなだけ
・炒りごま……適量
・大葉……3枚ほど
作り方
1. 加賀れんこんは皮をむき、8mmほどの厚さの輪切りを6枚作り、酢水に5分ほどさらしたら水気を切る。残りのれんこんはすりおろし、白ねぎはみじん切りにする。
2. ボウルに鶏ひき肉、すりおろしたれんこん、白ねぎ、木綿豆腐、Aの材料全てを入れ、粘り気が出るまでよく混ぜる。
3. 2を6等分し、丸く成型する。※の片栗粉を茶こしに入れ、成型したタネの上に振りかけ、その上に輪切りのれんこんをのせて軽く押さえる。さらに両面に片栗粉を振る。

4. フライパンにごま油を熱し、3をれんこんの面を下にして並べ、弱めの中火でれんこんのフチがこんがりとするまで焼く。ひっくり返し弱火にしたら、フタをして中まで火を通す。
5. Bの材料を混ぜ、4のフライパンに注ぎ入れる。火を少し強めて、スプーンでつくねにタレをかけながら煮詰める。
6. お皿に大葉を敷き、つくねを盛り付け、炒りごまを振る。卵黄を添えたらできあがり。

@cao_lifeさんのおすすめポイント
加賀れんこんをダブル使いしてみました。加賀れんこんは他のれんこんと比べて、細い繊維が密集しているような感じで、サクサクとした食感の軽さが私は好きです。すりおろしたものはかなり粘り気が強く、豆腐の入ったやわらかい生地をうまくまとめてくれたと思います。
今回は輪切りのれんこんにしましたが、大きめにカットした乱切りのれんこんを混ぜたつくねにしても美味しそう! ビールにも日本酒にも合う一品です。
【2品目】加賀れんこんの炊き込み彩りご飯

材料(4人分)
・米……2合
・加賀れんこん……1節(200~250g)
・油揚げ……1枚
・人参……1/4本
・しょうが……1かけ
・冷凍枝豆(サヤから取り出した豆のみ)……70g
【A】
・白だし……50ml
・酒……大さじ1
・みりん……大さじ1
作り方
1. 米を研ぎ、ザルにあげておく。
2. れんこんの皮をむき、縦に4つ割りにして3mmくらいの幅に切る。酢水に5分ほど浸けたらザルにあげて水を切っておく。人参は小さめの拍子木切り、油揚げは短冊切り、しょうがは千切りにする。
3. 炊飯釜にお米を入れ、Aの材料を全て入れる。炊飯釜の2合の目盛りまで水を入れて軽く混ぜ、2を全てのせて炊飯器で炊く。

4. 炊きあがったら枝豆を入れ、全体を混ぜてできあがり。

@cao_lifeさんのおすすめポイント
粘りの強い加賀れんこんを炊き込んでみると、梨のようなサクサクとした食感になって驚きました。それにより、油揚げや枝豆との食感の違いも楽しめる一品ができましたよ。
調味料は白だしを使うと、簡単に味が決まります。枝豆は炊きあがった後に加えることで、彩りのひとつに。残った炊き込みご飯は、長く保温するとレンコンが変色してしまうので、早めにおにぎりにするか冷凍してしまうのが良いと思います。
おうちごはん編集部も食べてみました!
炒める、煮る、揚げる、すりおろす……など、れんこんは調理法によっていろいろな食感や味が楽しめる食材です。せっかくなので、加賀れんこんを存分に味わいつくそうということで、おうちごはん編集部でも加賀れんこんをいろいろな料理にアレンジして食べてみました!

写真手前から時計回りに、
・れんこんの甘酢あんかけ炒め
・れんこんの素揚げ
・れんこんのすり流し汁
・れんこんのきんぴら
という加賀れんこんを使ったれんこんづくしメニュー。
すりおろすと粘り気が強く、なめらかな食感に。すり流し汁は、とろりとしたれんこんの食感とおだしがマッチしたとても優しい味わいでした。
炒めると、今度はシャキシャキ感がアップ! 特にきんぴらは、普通のれんこんに比べるとよりシャキシャキとした食感を楽しむことができ、歯ごたえがあってとてもおいしかったです!

調理していてびっくりしたのは、れんこんの透き通るような美しい白さ。輪切りにしたときの断面がみずみずしくて真っ白で美しかったので、思わず写真をパシャリ。
この白くて美しい断面を活かして、サラダや酢漬けなどにアレンジしてみるのもいいかも。
4品れんこんづくしのメニューでしたが、それぞれ味わいが違うので、まったく飽きることなくおいしく楽しむことができました。実際に加賀れんこんを食べたおうちごはん編集部のメンバーが実感したのは、「加賀れんこん」は素材としてのポテンシャルがものすごく高いということ! 素材そのものがおいしいので、調理の手間はほとんど加えなくても、シンプルに調理して食べるだけでおいしい。使うれんこんの部位によっても食感や味わいが変わってくるので、ぜひいろいろなアレンジで楽しんでみることをおすすめします。
今が旬の加賀れんこん。みなさんもぜひこのおいしさを味わってみてくださいね!
さて、次回は加賀野菜から「源助だいこん」をピックアップ! 引き続き、@cao_lifeさんとともにおすすめのレシピもご紹介していきます。ぜひお楽しみに!
(text by かねこま)

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おうちごはん編集部 担当:金子宛