愛情いっぱいのごはんとメッセージにほっこり。和田率さんの「お弁父」が素敵過ぎる
プロフィール
和田率
remy代表取締役
CMプランナーを経て、キッチンブランド「remy」を立ち上げ、キッチンウェアの企画デザイン、アプリ開発などに従事。
一男二女の父で、2017年春からインスタグラムで小一娘の弁当記録を始めました。
モットーは「退屈なものを楽しく」。趣味はサーフィン。仕事の合間は、波のことばかり考えています。
インスタグラムアカウント:@wadaritsu
――和田率さんといえば、料理器具や食育アプリの開発を手掛ける一方、母・平野レミさんゆずりの料理センスがキラリと光る著書『お弁父』が大ヒット。そして奥さまは食育インストラクターとして多方面で活躍中の和田明日香さん。ご夫婦そろって多忙な中、普段のおうちごはんはどのような雰囲気で過ごされているのでしょうか。
夫婦ともにイレギュラーな時間で働くことが多いので、おうちごはんはその時の状況に合わせて、夫婦で協力しながらつくっています。娘のお弁当はパパ。夕飯はママ。朝ごはんや週末のごはんは余裕のある方が作る……というのが、何となく決まっているルールです。
食卓は大切なコミュニケーションの場なので、できるだけ家族5人が揃って「いただきます」をして、みんなで会話を楽しむようにしています。夕飯は、子どもたちの会話やよく分からない歌を聞きながら晩酌するのが、夫婦の楽しみのひとつ。子どもたちの笑い声とビールがあれば、仕事の疲れも吹っ飛びます(笑)。
――にぎやかで楽しい雰囲気が伝わってきます! 和田さんがお弁当担当になったキッカケは?
学生の頃から、早朝にサーフィンに出かけるのが日課だったので、もともと朝が強いんです。一方妻は、朝が弱い。だったら弁当はパパが担当するか!と思ったのが「お弁父」づくりのキッカケです。
それまでお弁当を作ったことなんてなかったし、料理も不慣れだったので、最初は苦労しましたよ。レシピ本を片手に悪戦苦闘する日々が3カ月くらい続きました。
でも、筋トレと同じで、続けていれば少しずつ“料理筋”がついてきて、今では勘と舌を頼りに、たいていのものが作れるようになりました。
――料理が不慣れだったというのはちょっと意外です。お母さまの影響で幼いころから慣れ親しんでいるのでは?なんて思っていました。
子どもが生まれるまでは、基本的に食べるのが専門でした。ただ、母も妻も料理の仕事をしているので、普段から料理や食材についての話はよく耳に入ってきました。なので、いざ自分で料理を始めてみると、コツをつかむのは早かったような気がします。
とはいえ、つくるより食べる方が好きなので、いつも誰かがごはんをつくってくれたら嬉しいし、娘の学校で給食がはじまったらガッツポーズして喜ぶと思います。
――その日が今から待ち遠しいですね(笑)。でも、「お弁父」ファンとしては、ずっと続けてほしいなぁと思ってしまいますが。この「お弁父」という楽しいハッシュタグはパッと思い付いたのでしょうか?
これといった意図や狙いがあったわけでもなく、ただ、父ちゃんが作った弁当だから「お弁父」。なんとなく思い付きました。でも、気付けばこのハッシュタグが普及して、パパがつくるお弁当をよく目にするようになりました。
パパが一生懸命キッチンに立っている姿を想像すると、いっしょに頑張っているような気がしてなんだか嬉しくなります。
――娘さんからしてもパパの料理が食べられるのって嬉しいでしょうね。「お弁父」のメニューはどんなふうに決めているのでしょうか? なにかこだわりがあれば教えてください。
メニューを考えるのは面倒くさいので、曜日毎につくる料理を決めるようにしています。たとえば、水曜日は「魚(ウオ)ェンズデー」ということで魚料理。
木曜日は「刺ースデー」ということで串料理。
そして金曜日は「フライデー」ということで揚げ物料理(笑)。
こだわりは特にないですが、子どもの味覚が偏ってしまわないように、できるだけ新しい素材、新しい味を取り入れ、味覚の幅を広げるようにしています。
でも、ベースにあるのは、僕が食べたいものをつくること。そうじゃないと、料理はなかなか続きません。
――料理をしていて、お母さまの影響を受けているなと思うことはありますか?
数え上げたらキリがないくらい、たくさんあります。
できるだけ自然食材をつかうこと。肉の3倍野菜を食べること。極力薄味にすること。手軽さとおいしさを追求すること。常識にとらわれないこと。「面白い」を忘れちゃいけないこと。これらは母のスタイルで、なんとなく僕もそうなっていました。
話はそれますが、幼少期、父がお皿洗いをしている姿をよく見ていたので、シンクに汚れたお皿が溜まっていると、僕も自然とスポンジに手を伸ばしちゃいます。親が子どもに与える影響は絶大です。
――ちなみに和田さんにとっての“母の味”といえばなんでしょうか?
幼少期から、ユニークな料理をたくさん食べて育ちました。だから、「母の味といえば、コレ!」というものは特にありません。
でも、お袋の味といえば、母はよく「お袋の味が袋の味になっちゃいけない」と言っていました。どういうことかと言うと、袋に入っているお惣菜や冷凍食品、加工食品は、子どもにできるだけ食べさせたくない、ということ。母の料理は手抜き料理が多いですが、大切なところでは絶対に手を抜かなかったんですね。
つくってくれる料理はいつもおいしかったし、今になって、その凄さを感じます。親になって分かる親の凄さって、あるんですよね。
――娘さんもいつかその凄さに気付くんでしょうね。娘さんの「お弁父」に対する反応はいかがですか?
娘は揚げ物が好きなので、金曜日(フライデー)は特に楽しみにしているようです。朝起きると、「今日フライデーだよね。なに揚げるの?」なんて聞いてくるのでかわいいです。
育ち盛りなので、弁当はいつも空っぽになって返ってきますが、たまに残してくるものがあると、娘の好みが分かります。たとえば生姜焼き。娘は生姜の薄切りが目に見えると残してしまうので、我が家ではたいてい生姜のすりおろしを使います。
ごはんを残したときは、ちょっと食欲がないのかな、疲れてるのかな、なんてことを想像できるので、お弁当は交換日記みたいで楽しいですよ。
――言われてみれば、たしかに交換日記に似ていますね! 和田さんのお気に入りの「お弁父」はどれでしょう?
思い出深いのは、娘の大好きな「牛しぐれ煮」でつくった「お誕生日弁父」でしょうか。ブロッコリーの花束がポイントです(笑)。
あとは、娘の指示書をもとにつくった「宝探し弁父」も狂っていて好きです。
はじめての「刺ースデー弁父」としてつくった「肉じゃが刺ースデー弁父」もバカバカしくて好きです。
毎日真面目につくっていると疲れるので、できるだけ、自分が楽しめるような「お弁父」を心がけています。
――どれも楽しくて、娘さんの喜ぶ顔が目に浮かぶようです! 盛り付けのコツはありますか?
お弁当箱を開けたときに「おいしそう!」ってテンションが上がって欲しいので、お肉ドーン!は基本です(笑)。
あと、彩りは大切にしたいので、緑、黄、赤の食材は極力入れるようにしています。逆に言うと、それ以外は全く気にしていません。
ルールに縛られないことが、一番大きなルールでしょうか。
――そんなすてきな「お弁父」の数々を投稿したインスタグラムが大人気ですが、インスタグラムを始めてみて変化はありましたか?
「お弁父」をインスタグラムに上げていたら、あろうことかフォロワーがたくさん増えて、「いつも楽しみにしてます!」なんてコメントをいただくようになりました。そして気付けば、弁当づくりを止められなくなっていました(笑)。
インスタグラム投稿で自分にプレッシャーをかけていなかったら、もしかしたら、とっくにギブアップしていたかもしれませんよ。
――インスタグラムの存在って大きいですね(笑)。では、「お弁父」以外によくつくる料理や得意料理は?
得意かどうかは別として、ハマっているのはホームメイドピザです。
九十九里の海沿いに小さなサーフハウスを持っているのですが、5年前、庭に念願のピザ釜をつくりました。そこで、ピザ生地から自分でこねて、地元の食材をたっぷりのせた自己流のピザをつくっています。
夏は友人をたくさん呼んで大量のピザを振る舞うんですよ。人気なのは、醤油をベースに、シソとチーズをたっぷりのせた和風ピザ。その場の空気がぐわっと盛り上がる料理は、つくっていても楽しいですね。
――ピザ、本格的でとてもおいしそうです! お使いのキッチン用品についても気になるのですが、お気に入りがあれば教えてください。
やっぱりremyのキッチン用品ですね。自分がキッチンに立っていて、「こんな商品があったらぜったい便利!」と思うものを商品化しているので、それ以外はほとんど使いません。
どんな料理もちゃちゃっとつくれる「レミパン」、4年がかりで開発した「クロの包丁」、ナイフに変身する「ナイフなハサミ」、ハンドタオル一体型エプロン「zipron」、1分で本格だしがとれる「わたしの和だし」など。自分がラクするために商品をつくっていると言っても過言ではありません(笑)。よかったら、ぜひお店を覗いてみてくださいね。
――最後に、和田さんにとって、おうちごはんとは?
月並みですが、自分がいちばん“素”に戻れる場所ですね。
おうちごはんで、仕事をリセット。遊びもリセット。リセットさえうまくできれば、仕事も遊びも、もっと“おいしく”なりますよ!
ありがとうございました!
毎日のお弁当づくりを和田さんのように肩の力を抜きつつ、楽しめたら家族みんなが笑顔になれそうですね。
また、和田さんのインスタグラムを見る時は、ぜひ写真に添えられたメッセージにも注目を!
「死ぬほどうまいぞ。ぜんぶ肉にしたかったけど、おなら臭くなるから野菜も入れといた」や「肉のジュワッ、と、葉っぱのシャキッ。性格が違うからいいコンビになれる。しょっぱいチーズと甘い蜂蜜も同じ。今日は、ふだん話さない子に話しかけてごらん」など、プッと笑えるものから思わずジーンとするものまで、すてきなメッセージばかり。
お弁当づくりのヒントが見つかるだけでなく、「こんな食育もあるのか」と考えさせられるので、家事や育児の見方が少し変わるかもしれません!
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和田率さんがインスタグラム(@wadaritsu)で毎朝投稿している「お弁父」の中から、厳選された42個のお弁当&メッセージを再編集。パパでも作れるお弁当のレシピや続けるためのコツ、さらにお弁父づくりの裏舞台も大公開しています。
おいしそうなお弁当と心に響くメッセージの数々をぜひチェックしてみてくださいね!